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【結論】小論文の書き方


例題:杏林大学 2015年度
「競争社会」について、800字程度で論じなさい。

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問題提起・分析・解決型で書くのがおすすめ!
なんで、問題提起・分析・解決型がいいの?
はい、では小論文対策講座をはじめていきましょうか。面接・小論文講師の おかまる がお送りしていきます(よろしくね!)
結論を述べてしまえば、小論文を書くときは極力、問題提起・分析・解決型で処理するのが望ましい文章構成です。「問題提起・分析・解決」型を紹介するならば、おおむね以下のような構成となっています。
まず、第1段落目で「はたして~だろうか。」といった具合に問題を提起し…

第2段落目で「こういう理由で」にあたる理由付け(分析)を行って…

第3段落目で「以上より、~である。」に相当する結論を述べる(解決)、というものです。

この3段落構成であれば、各段落の役割にメリハリがあるため、だれでも添削官へ論理的な心象を与えることができるのです。
と、講義でお話していると、小論文について勉強したことのある受験生から…

学校では「結論を先に述べなさい」と言われたんですが、結論を第1段落目に持ってこなくていいんですか?
といった質問を受けることがあります。TOPページでも書いているとおり、小論文は人文科学に属するため、様々な正解があって様々な書き方を教える先生がいらっしゃいます。ですので、その先生の言っていることもあってますし、問題提起・分析・解決型をおすすめするおかまるも間違っていませんよ。(ほ、ほんとだよ?
結論を先に書くと、具体的には以下のような構成になりますかね。

う~ん、美しい… 論理構成の美しい文章は、まるでパズルのようで芸術性を感じますね…(恍惚
たしかにこの構成でも良い文章が書けるでしょう。しかし、それでもなお、私が問題提起・分析・解決型をおすすめするのは、強いメリットが2点あるからなんです。それを以下に紹介していきたいと思います。
メリット①:字数が稼げる
メリットの1つ目は、字数が稼げるという点です。小論文の初学者がぶつかる壁として良くあるのが、「何を書いたらいいのかわからない」「800字も文章が書けない(字数が不足してしまう)」といった問題です。
この点、私がこれから紹介していく問題提起・分析・解決型は、結論を先行して書くやり方よりも、字数を自然と増やすことができる書き方なんです。
…と、言われてもピンとこないですよね? 大丈夫です。この点については、後に別記事でまとめている、結論先行型の文章構成を学んでからの方が理解しやすいものと思われます。後々解説していきましょう。
メリット②:”一義的でない” 設問も対処できる!
メリットの2つ目は、”一義的でない” 設問も対処ができるという点です。これが大きなメリットとなっています。
結論から先行する… ということは、つまり「第1段落目から結論がくる」ということですよね。実のところ、世の中には、結論をバシッと明確に出すことのできない質問(設問)があるんです。
「…?!??!」となった方も多いのではないでしょうか。では、具体的な例を挙げつつ説明していきましょう。いまから私がいくつか質問(設問)を出していきますので、”結論だけ” を答えてください。よろしいですか?いきますよ?

好きな食べ物はなんですか?
…私であれば、「お豆腐」ですね。え、珍しいですか? 美味しいじゃないですかお豆腐。昔はピザとか焼肉が大好きでしたけど、いまとなってはお豆腐が恋しくてたまりませんね。え?年のせいじゃないかって? やかましいですわよ?

好きな曲・アーティストは誰ですか?
…私であれば、「Bump Of Chicken」というアーティストですね。そう、4人組のバンド。大好きなんですよねー、特に『Stage of the ground』という曲が好きで、これまでの人生で1000回は聴いてます、ほんとに。
実はこの「好きな曲・アーティストについて論じなさい」という問題は、東海大学医学部の小論文試験でも問われているため、あまりバカにできない質問(設問)ですよね。
さぁさぁ、上に挙げた2つの質問については、”設問だけ” 答えてと言われてもサラッと答えることができますよね。それもそのはず、上記の質問は2つとも ”一義的な問い” 、つまり何を答えるべきかテーマがはっきりしているからなんです。
では、以下のような質問(設問)はどうでしょう? ”結論だけ” 答えられますか?

「競争社会」について論じてください。
…結論はサラリと出てきますか? …出てこないですよね? なぜなら、「競争社会」と言われただけであって、「競争社会」の何について論ずればいいのか不明瞭であるからなんです。
え、「競争社会」の定義を答えればいいんでしょうか…? それとも、「競争社会」が良いのか悪いのかを答えれば…? はたまた、「競争社会」で傷ついた人々をどのように癒すべきか、でしょうか…?
このように、小論文の設問の中には、「競争社会」について論じなさいといった具合で、”一義的でない” 設問が見受けられるのです。こういった、”一義的でない” 問いについても問題なく対処できるのが、問題提起・分析・解決型なんですね。
では、具体的にどういった書き方に仕上がるんでしょうか。以下に記していきます。
問題提起・分析・解決型の全体像
例題:杏林大学 2015年度
「競争社会」について、800字程度で論じなさい。
回答例:杏林大学 2015年度
“【模範解答】杏林大学2015年-競争社会” をダウンロード
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問題提起・分析・解決型の構成
上記の「回答例:杏林大学 2015年度」はダウンロード・印刷していただけましたでしょうか? ここから問題提起・分析・解決型について、具体的に解説していきますので、ダウンロードの上、印刷しておくことを推奨しますよ。 よろしいですね?
第1段落目:問題提起
運動会での徒競走、大学受験や資格試験などといった受験競争、さらには社会人間における出世競争と、現代社会では至るところで競争が繰り広げられている。ときに「競争をするから敗北者(劣った人・貧しい人)が出てしまうのだ」と批判されることもあるが、はたして、競争社会は良いものなのだろうか。
このように、競争社会というテーマについて「現代社会で起こっていること」を述べつつ、「はたして、競争社会は良いものなのだろうか。」といった具合に問題を提起していますよね。
競争社会…という言葉を聞いて、現代社会でどのような情景を思い浮かべましたか? 私は、運動会の徒競走や受験競争、出世競争など、自身が経験してきたものが真っ先にあがりました。その上で、「競争をするから貧しい人も出てきてしまうのでは…?」といった、批判的な声も頭の中に浮かんできましたね。
そして、段落の終わりで問題提起、つまり今回論じるテーマを設定しています。今回の「競争社会」というテーマであれば、競争社会の定義を論じるのか、競争社会の是非(○✕)を論じるのか、はたまた競争社会で傷ついた人々をどのようにして癒すべきか、といったテーマが頭の中で候補としてあがりました。
もちろん、「競争社会」というテーマから外れすぎなければ、上に挙げたテーマ以外について論じてもOKです。ご自身の判断で今回論じるテーマを設定してみてくださいね。私は今回、「はたして、競争社会は良いものなのだろうか。」をテーマとして設定しました。いかにも論じやすそうですし、答えが明確で論じる価値もありそうでしたからね。
第2段落目:分析
大手受験予備校のデータによれば、難関大学への合格に必要な学習時間はおよそ3000時間であるが、インプットに要する講義時間は400時間ほどしかないという。言い換えれば、「自ら勉強時間を確保し努力のできる人」が、受験競争を勝ち抜き合格を勝ち取ることができると言える。また、私人間の競争(争い)を規律する民法では、「努力をした人が報われる」よう、ルールが制定されている。例えば、AさんからBさん、AさんからCさんへと二重で土地の売買が起きてしまったとき、「土地は誰のものになるか」といった争いが起きてしまう。民法177条では「登記の先後で決する」と規定されており、換言すれば、登記取得という面倒な作業を行ってでも、自らの物にしようと先に努力した人へ土地の所有を認めている。上に挙げた2例のように、日本では努力をした者が報われるような社会を目指していると言え、怠けものに利を与えないよう仕向けているのだ。
この段落では、結論を支える根拠、つまり理由付けをしています。小論文は説得学ですので、添削官に自身の唱える結論を納得してもらえるような理由付けを選ぶべきです。
今回であれば、まず予備校のデータを取り上げてみました。合格する人は平均3000時間の勉強をしているのですが、強制的に勉強する講義時間は400時間しかないそうです。そのため、残り2600時間については、自習室などにこもって黙々と努力した受験生が勝利をつかんでいるんですよね。
もう1つ、説得のための例を出してみました。受験生にとって、チョ~ットわかりにくい例かと思われますが、不動産売買における競争例です。

Aさんが「お金が必要だ… 土地を売りたいな~」と思い、①Bさんというぼーっとしたサラリーマンに1,000万円で売ったとしましょう。その次の日に、Cさんというしっかりキャリアウーマンと出会い、Cさんから「あの土地を1,000万円だなんてもったいない!私であれば、1,500万円で買わせていただきます!」と伝えられました。
皆さんがAさんならどうしますか? 「いや、Bさんに売っちゃったので、Cさんごめんなさい…」って断りますか? そんな人であれば、けっこう義理堅いですね。私であればすぐに「はーい、じゃあCさんに売っちゃいますぅ♪」って言っちゃいますね。というか、これが資本主義社会、競争社会です。
これでAさんがCさんに土地を売ってしまったとき、BさんにもCさんにも土地を売ってしまっている状態になりますよね。このとき、”土地は誰のものになるか” という争いがおこります。
民法では、努力をした人が報われるよう法整備が仕向けられているので、このケースでも努力した人が報われるようになっています。土地は購入後、法務局というところに行って、登記というメンドクサイ作業をしなければならないのですが、③Cさんは購入後すぐに登記作業をしたとしましょう。とすると、④その時点で土地はCさんのものが確定し、めでたしめでたしというわけなんですね。(法律上、厳密にはこのような感じではないのですが、あくまで理解してくれればOKです)
このように、予備校のデータ、民法の例を取り上げた上で私が主張したかったのは、「日本では努力をした者が報われるような社会を目指していると言え、怠けものに利を与えないよう仕向けている 」ということなんです。これが第2段落。
第3段落目:解決
以上より、努力を促し怠けるのを防ぐという点で、競争社会は良いものと言えよう。医学生・医師であっても、成績・評価を受け、仲間としのぎを削って努力し、社会のために向上していく心は必要であると考える。ただし、健全な競争社会を築いていく上で、以下の3点には注意しなければならない。1つ目は、皆が等しく競争に参加できるよう、競争へ参加するための障壁をなくすこと。2つ目は、成績・評価を受けるときは、公正・平等な基準を設けること。3つ目は、競争で大きな傷を負う人を出さない制度・傷を負った人を皆で支えていける制度を整えることである。
この段落では、これまで提起してきた論題に対し解決策を提示する、つまり結論の段落となっています。
今回であれば、第2段落で挙げてきた ①予備校で努力した人が報われる例および②不動産売買で努力した人が報われる例 より、努力を促し怠けるのを防ぐという点で、競争社会は良いという結論に至りますよね。これが第3段落でフィニッシュです。
小論文は説得学! 自由に書いてOK!
ここまで医学部受験予備校でも同様のことを話すのですが、この時点で受験生から…

先生のように数値・データに詳しくなくて、「予備校の例」とか「民法の例」といった数値・データを記述できないのですが…
といった質問を受けることが多いです。
この質問に対し、私は…

知らなくて当然ですよ!笑 私が予備校講師で「予備校のデータ」に詳しいだけで、趣味が法律の勉強であるから「民法」に詳しいだけで、自身の説得しやすい根拠を持ってきてくれれば大丈夫です!
とお答えしています。
このブログでも何回かお伝えしていますが、小論文・面接は説得学です。添削官・面接官を納得させることができればそれでOKですし、納得できなければ何をとりあげてもNGなわけです。
つまり、自身の得意なデータ・根拠を持ってきて、それらしい結論につなげてあげれば良いわけです。
例えば、野球に詳しい人であれば「常勝無敗の高校野球部」を例に出しても良いでしょう。100名を超える部員たちが、お互い切磋琢磨ししのぎを削って努力することで、甲子園での優勝を勝ち取ることができる… だから、競争社会は良いものだ、と主張しても良いでしょう。
あるいは、別の例として「資本主義と社会主義」を引き合いに出しても良いですね。政治・経済の授業で習ったかと思いますが、過去に社会主義を導入していた国々では、「いくら努力しても稼ぎが変わらない」という状態になり、国民の努力を促すことができず生産性が落ちていった… だから、競争社会は良いものだ、と主張してもかまいません。
このように、自身の書きやすい論述内容を選択してくれればOKで、これまでの人生で培ってきた学びをフル活用して添削官を説得してみましょう。
問題提起・分析・解決型の補足説明
さて、問題提起・分析・解決型という文章構成を学んでまいりましたが、ここで補足したいことが2点出てきます。それが、 ”論理のつながりを意識してほしい”ということと、”キーセンテンス・ナンバリングを駆使してほしい”ということです。
論理のつながりを意識しよう!
1つ目が、”論理のつながりを意識してほしい”ということについてです。問題提起・分析・解決型の文章構成を整えたとき、2つの論理ができあがっていますので、それぞれつながっているか点検しましょう。
まずは、問題提起と解決が「自問」と「自答」の関係でつながっているかチェックしましょう。

上図のように、「はたして、競争社会は良いものだろうか(問題提起)」と「以上より、競争社会は良いものである(解決)」で見てみると、それぞれ「自問」と「自答」の関係になっていますよね。
次に、分析と解決が「理由」と「結論」の関係でつながっているかチェックしましょう。

上図のように、「 日本では努力をした者が報われるような社会を目指していると言え、怠けものに利を与えないよう仕向けている(分析) 」と「以上より、競争社会は良いものである(解決)」で見てみると、それぞれ「理由」と「結論」の関係になっています。
つまるところ問題提起・分析・解決型では、「はたして~だろうか。」と第1段落目でテーマを絞り、以下の内容を限定させます。その上で、第2段落目で「こういう理由で」、第3段落目で「こう考えます。」と構成だてているだけなのです。

問題提起・分析・解決型とは、どの問題が来ても、「はたして~だろうか。」「こういう理由で」「こう考えます。」とさばいていく3段落構成のことを指します。
キーセンテンス・ナンバリングを駆使しよう!
2つ目が、”キーセンテンス・ナンバリングを駆使してほしい”ということについてです。

キーセンテンスとは、読み手が最も集中して良く見る段落のアタマとオシリに、各段落で一番伝えたいことを持ってくるという表現技法です。これにより、文章構成が複雑化せず、平易で論理だった文章を仕上げることができます。
「競争社会」の例でいえば、第1段落目オシリで「はたして、競争社会は良いものだろうか」、第2段落目オシリで「 日本では努力をした者が報われるような社会を目指していると言え、怠けものに利を与えないよう仕向けている 」、第3段落目アタマで 「以上より、競争社会は良いものである(解決)」 と持ってくることで、それぞれの段落が問題提起・分析・解決なんだな、と一目でわかるよう読み手に配慮しているのです。
そしてナンバリングとは、「〇〇は3つある。1つ目は~。2つ目は~。3つ目は~。」といった具合に、自身の考えが何点あるのか整理し、論理だてて説明する表現技法です。
「競争社会」例でいえば、第3段落目の後半で「以下の3点には注意しなければならない。1つ目は~。2つ目は~。3つ目は~ことである。」と論理だてて説明していますよね。

これらの表現技法を活用すると、めちゃくちゃ読みやすい文章ができあがりませんか?優秀答案に共通しているのは、「読み手にとって容易に理解できる読みやすい文章」ということです。ぜひ、キーセンテンス・ナンバリングを活用していきましょう!
字数の稼ぎ方(字数が不足してしまう君へ)
と、ここまで医学部受験予備校でも同じことを説明していくのですが、生徒から以下のような悩みを相談されることが多くあります。

これまで小論文を書いたことがないので、「800字で記述しろ」と言われても何を書いていいやら分かりません…。 何か字数の膨らまし方、字数の稼ぎ方はないのでしょうか…?
うーん、たしかに! 小論文を書いたことのない人にとって、「800字で記述しろ」との要求は拷問に聞こえますよね。それこそ、「おでんで白米を食べろ」並みの拷問のように。(え
実のところ、問題提起・分析・解決型を初学者の人におすすめしているのは、論理構成が整うというメリットだけでなく、実はもう1つ ”自然と字数を稼げる” というメリットもあるからなんです。この点を最後に紹介して終わりにしたいと思います。
皆さんが字数で困るところといえば、原稿用紙の最初と最後の部分、つまり問題提起「はたして~だろうか。」より上の部分と、解決「以上より~である。」の下の部分ではないでしょうか。

まず、問題提起「はたして~だろうか。」より上の部分について字数の稼ぎ方を考えてみましょう。字数の稼ぎ方は2通りパターン分けすることができます。
①本文、図表、写真、絵画等、などの受け止め

1つ目は、本文、図表、写真、絵画等の受け止めです。小論文の出題方法はヒジョーに多岐にわたります。それこそ、「〇〇について述べなさい」と1行しか書いていない問題や、複雑な文章を読まされて文章を書かせる問題、物語を書かせる問題、ついには写真・絵画等を読み取り感じたことを書かせる問題など、実に様々なものが挙げられます。
その中で、本文、図表、写真、絵画等が問題に掲載されている場合、出題者はそれらを丁寧に受け止めてくれることを期待しています。つまりは、「筆者は~について、~と述べている。私もこの考えには賛成で~。」とか「この写真からは~ということから、~ということが推測される。」といった具合に ”用意されている本文、図表、写真、絵画等を丁寧に受けて止めていますよ~” とアピールするのが良いでしょう。
②社会の現状
と予備校で講義していると…

あれ? 先生、今回課題となっていた「『競争社会』について論じなさい」という問題は、本文と呼べるようなものがなかったんですが… どう字数を膨らませれば良いでしょうか?
との質問を受けます。そうそう、今回の課題は本文と呼べるようなものがありませんでしたよね。あるいは、本文などがあったとしても「あ…今回の本文、あんま参考にならねぇな… いいや、無視して原稿を書こう…」となるときもあります。
そのように受け止めるべき本文等がない場合、今回問われているテーマについて社会の現状を書いてみてはいかがでしょうか。
例えば、「競争社会」の例ですと、「うーん… 徒競走とか、受験競争、出世競争みたいに、現代社会は競争であふれかえっているよなぁ…。 でも、競争って良いイメージもあるけど、敗北者が生まれたりして悪いイメージもあるよなぁ…。 うーん…競争社会って良いものなのかねぇ…?」といった具合です。
まとめると、問題提起「はたして~だろうか。」より上の部分では、①本文、図表、写真、絵画等、などの受け止めや②社会の現状を挙げ、字数を膨らませるのがベターといえます。

では次に、解決「以上より~である。」の下の部分について考えてみましょう。こちらも、字数の稼ぎ方は2パターンありますので、整理して対策しましょう。
①想定される反論およびそれに対する(反)反論
1つ目は、想定される反論およびそれに対する(反)反論です。「きのこの山、たけのこの里、どちらが好きですか?」とか「競争社会に賛成ですか、反対ですか?」といった二律背反(ディベート形式)な問題が出題されたとき、私たちはどちらかの立場に立たなくてはなりません。中途半端な立ち位置だと、主張が弱まって聞こえてしまいますし、質問にもキチンと答えていることになりませんからね。
とはいえ、「はい、たけのこの里が好きです!」とか「はい、競争社会に賛成です!」と主張すると、その反対意見を持った人からの反対意見が聞こえてきませんか? そう、原稿用紙の終盤に至るまで、ずっと「たけのこの里が好きです!」「競争社会に賛成です!」と主張してばかりで、反対意見への配慮をしていませんよね。(相手もプンスカプンです
だからこそ、最後の最後に「たしかに~という意見もあろう。しかし~。」と、想定される反対意見を丁寧に汲み取り、それに対する(反)反論を述べていくのが良いでしょう。
「競争社会」の例でいえば、「たしかに、競争社会が激化すると敗北者が生まれ、傷つき立ち直れなくなる者も出てくるだろう。しかし、競争社会・資本主義社会では、こぞって良い政策を立てたり、こぞって良いボランティア団体を建てようとする動きも出てくるため、弱者保護の観点からも競争社会を導入すべきなのだ。」といった具合になりますね。
②結論についての展開
2つ目は、結論についての展開です。例えば、「あなたのできる、身近な環境問題対策について論じなさい。」との問題が出題されたらいかがでしょうか。「コンビニで配られる割り箸を断るべきだ」とか「電気をこまめに消すべきだ」といった結論が思いつくのではないでしょうか。
このとき、「コンビニで配られる割り箸を断るべきだ」とか「電気をこまめに消すべきだ」といった結論は、二律背反(ディベート形式)な答えではなく、1つの提案であるだけなので、反論が聞こえてくることはありません。そうですよね、「いや、コンビニで割り箸をもらうべきだ!」とか「電気はバリバリ使うべきだ!」といった反論は違和感を感じますもの。
そこで、1つの意見にすぎない結論を挙げたときには、結論についての展開をしてみてはいかがでしょうか。展開とは、「では〇〇といった結論を、どのようにして広めていけば良いだろうか。」といった具合に話を深堀りする、あるいは具体的にしていくことです。
例えば、上記の「コンビニで配られる割り箸を断るべきだ」という結論の場合を考えてみましょう。皆さん、コンビニで配られる割り箸を断ったりしますか? …断っている人は素晴らしい。エコですね。ただ、ほとんどの方は割り箸受け取っていませんかね。それこそ私も「この両手いっぱいの割り箸をくれ!」って言ってます。冗談ですよ。
そこで、具体的にどんな対策を練れば、実際に皆さんが割り箸を断ってくれるのでしょうか。一例を考えてみれば、「割り箸を有料化させる」とか「『割り箸を断ろう!』と掲げられた、有名芸能人の啓発ポスターを掲示する」といった案が浮かびます。
まとめると、展開とは以下のような文章に仕上がりますね。
(提起:はたして、私たちにできる身近な環境問題対策とはいったいなんであろうか。)
以上より、コンビニで配られる割り箸を断ることが、私たちにできる身近な環境問題対策である。とはいえ、国民のほとんどがコンビニへいった際、割り箸を受け取っているのが現状ではなかろうか。そこで、割り箸を断る人が増えるような具体的対策を、以下に2点まとめたい。1つは、割り箸の有料化を進めることだ。有料化を進めることで~…
以上が「字数の稼ぎ方」でした。原稿用紙の最初には、①本文、図表、写真、絵画等、などの受け止めや②社会の現状を入れて文章をかさましする。そして、原稿用紙の最後には、①想定される反論およびそれに対する(反)反論や②結論についての展開を入れて文章をかさましするのがポイントです。


文章量の多い記事でしたが、お付き合いいただきありがとうございました!この記事だけで、小論文の基本の ”き” は抑えられています。あとは実際に手を動かし、文章を書くトレーニングをしてみましょう!
本日の課題
本日の宿題:杏林大学 2015年度
「競争社会」について、800字程度で論じなさい。
回答例:杏林大学 2015年度
“【模範解答】杏林大学2015年-競争社会” をダウンロード
4f365d0e1d0822fe6b7c96b929c75609.pdf – 4203 回のダウンロード – 425.37 KBでは、今日はここまで! お疲れさまでした!
