【解答例付き】600字小論文の書き方! 例題:昭和大学・日本医科大学(医系・看護)

小論文

今回の記事はYouTubeでもまとめています!

今回は、昭和大学・日本医科大学の過去問とその解答例を参照しながら600字小論文の書き方について伝授していきたいと思います。

ぶっちゃけ、医学部・看護学部受験において、小論文の存在ってうっとうしいですよね!※言っちゃった

受験生
受験生

文章を書き慣れてないから、低い評価がつかないか不安だなぁ…

受験生
受験生

英語・数学・理科の学習に時間を割きたいのに…

と感じている人がほとんどだと思います。

以下の記事でも解説したとおり、医学部で正規合格を勝ち取るためには、面接・小論文の課せられる2次試験で上位3分の1を目指すのが妥当なんでしたね。

受験生
受験生

えぇ、上位3分の1なんてめちゃくちゃすごい答案書かないとダメなんじゃない?

と思うかもしれませんが、正直上位3分の1が書きあげている答案は大したことないです。

僕は、慶應SFCの小論文でほぼ満点合格、大学院入試の小論文で特待生合格、医系専門予備校等で1,000以上の生徒を個別指導し、小論文を深く学習してきたと自負していますが、分かりやすい文章構成さえとれれば、難なく上位3分の1の優秀答案を仕上げることができると考えています。

下位3分の2の受験生は勝手に自爆しているのが現状であって、正しい文章構成を身に付けていなければ、皆さんもこの下位3分の2に入り不合格となってしまうかもしれません。

今回は、

「できるだけ楽な書き方で合格したい」

「できるだけ短時間で600字小論文を攻略したい」

上位3分の1に入る美しい文章構成をとりたい」

と考えている人向けの記事になります。

それでは、600字小論文の倒し方 解説していきましょう!

 

600字であれば「結論先行型」で対処できる!                               

絶対ではありませんが、600字小論文であれば結論先行型で対処することが多いです。

受験生
受験生

えぇ、結論先行型ってなんですか?

めちゃくちゃシンプルな文章構成です。

まずは、第1段落目で「私は~と考える。」と結論を先に持ってきます。そして、第2段落目・第3段落目で「1つ目は、~であるからだ。」「2つ目は、~であるからだ。」といった具合に結論を支える理由を持ってくるのです。

また、結論先行型をアレンジすると、違った文章構成をとることもできます。

まずは、第1段落目で「~の対策は2点だ。」といった具合に本問に対するまとめを先に持ってきます。そして、第2段落目・第3段落目で「1つ目は、~だ。」「2つ目は、~だ。」と置き、具体的な対策を持ってきます。

いま挙げてきた2つの書き方は、どちらであれ非常にロジカルな書き方をしているので、出題された小論文を見て「どっちの方が書きやすいかなぁ…」と考え、柔軟に使い分けてOKです!

そして、ここで皆さんに質問なのですが、皆さんが採点官だったとして、「~の対策は2点だ。」「1つ目は~。」「2つ目は~。」と、3段落だけで終わっている小論文を見たらどのような印象を抱きますか?

なんかスパッと切られてしまったような終わり方で変じゃないですか?

「読みきったなぁ!」「いい終わりだなぁ!」という感じがしないのは、最後にソフトランディングと呼べる段落がないからです。

ソフトランディングとは、文章全体での熱い議論を冷まし、読み手に「読み切ったなぁ」「いい終わりだなぁ」と印象つけるための、読み切り段落のことを指します。

飛行機が上空へと飛び立ち、空を浮遊し、最後には空港に着陸する様子を思い浮かべてください。一度空に飛び立った飛行機が空港に着陸する際には、減速し、ゆっくりと降りてきませんか。文章もこれと一緒で、一度はじまった議論が過熱化した際には、議論を冷まして終わらせてあげる必要があるのです。

結論、理由①、理由②、ソフトランディング

まとめ、対策①、対策②、ソフトランディング

これら2パターンで処理するのが600字小論文、結論先行型の基本形となっています。

 

実践編:昭和大学(医師の長時間労働)

ここからは過去問を実際に見ながら、結論先行型をどのように用いるかを学んでいきましょう。

まずはこちらの問題です。

医師の長時間労働を改善するにはどうしたらよいか。600字以内で述べなさい。

2018年度 昭和大学

結論、理由①、理由②、ソフトランディング

まとめ、対策①、対策②、ソフトランディング

どちらで書いても良さそうですが、今回は複数の対策が思いつきそうなのでまとめ、対策①、対策②、ソフトランディングの文章構成でいきたいと思います。

第1段落目では、医師の長時間労働というテーマについて、「解決策を以下に2点提案したい。」といった具合にまとめを先行させましょう。“いまから何を何点述べますよ”というのを明確に伝えているので、採点官も

採点官
採点官

この子は論理だった構成を取っているな…!

と好印象を抱くはずです。

第2段落目では、1つ目の対策を述べていきましょう。様々な解決策が考えられますが、「働き方による格差を解消すること」なんてどうでしょうか。皆さんご存じのとおり医師という職業は激務で、特に開業医よりも勤務医の身体的負担は大きいものとなっています。

具体的な解決策として、ローテーション制の推進をするのはどうでしょうか。
ローテーション制とは、地域の開業医やフリーの医師たちが少しずつ協力しあって、激務である大学病院の夜勤当直などをお手伝いすることです。

この記事をご覧の方でも、

受験生
受験生

医師である両親も、月1・2回くらい深夜に大学病院へ行ってるなぁ

と感じている人はいるでしょう。もしかするとそれは、ローテーション制のお手伝いに行っているのかもしれません。ローテーション制をより推進することで、激務である勤務医の仕事量が緩和されるのではないでしょうか。

第3段落目では、2つ目の対策を述べていきましょう。

「かかりつけ医制度を推進すること」も1つの手です。

少し質問なのですが、皆さんには“かかりつけ”と呼べる医師がいますか? 通いなれている医院や、自分をよく知ってくれている医師がいると、いつでもなんでも相談でき安心感が違いますよね。

それだけでなく、かかりつけ医は無駄な診療プロセスを省く役割も担っています。専門的知識だけを持ち合わせた医師に診てもらうとなると、様々な診療科へたらい回しされてしまう可能性があります。しかし、総合的知見を持ち合わせたかかりつけ医であれば、疾患を特定し、適切な科へ案内してもらえることも多くなるでしょう。

日医総研の調べによれば「かかりつけ医がいる」と答えた人は全体の5割程度、さらに若年層だとその割合は低く、完全に普及しているとは言い難い状況なのです。だからこそ、医師会などが舵をとって教育・啓発活動を実施していくのが望ましいと考えました。

第4段落目では、ソフトランディングを設けましょう。意味のないことを書きつつも、これまで述べてきたこととほんのり関連性があり、心地よい読後感を与えるような文章を配置していきます。この意味のないというのがポイントで、ソフトランディングでは意味のある文章を書いてはなりません。

確かに、ほかにも「地域枠制度を推進すべきだ!」とか「救急車の適正利用を促すべきだ!」といった具合に、新たな意見(意味のあること)を提示することはできます。しかしそれをしてしまうと、せっかく冷まそうとしていた議論が再加熱してしまい、文章が締まらなくなってしまいますよね!

だからこそ、意味のないことを書きつつも、これまで述べてきたこととほんのり関連性があり、心地よい読後感を与えるような文章を配置するのが良いんです!

受験生
受験生

えぇ、ちょっと言ってることが分からない

受験生
受験生

実際にどういった文章を書けばいいの?

って思いますよね。

それでは、いまお伝えしてきた文章構成を実際に原稿化したものをみていきましょう!

 

解答例:昭和大学(医師の長時間労働)                 

医師の過重労働は様々な問題を孕んでいるが、ここでは解決策を以下に2点提案したい。

 1つ目は、働き方による格差を解消することだ。ある程度自由に診療時間を設定できる開業医に比べ、勤務医は24時間運営の病院を背負っており、応召義務の狭間に立たされている。対策としては、ローテーション制を推進するのが良いだろう。ローテーション制とは、大病院等内の人材だけでなく、大病院等を抱える“地域全体”の人材を活用し、病院運営を回していく考えである。具体的には「○○クリニックの先生が月曜日当直」といった具合に、体力的・精神的に負担のかかる仕事を“地域全体”で分担・負担しあうのだ。

 2つ目は、かかりつけ医制度を推進することだ。かかりつけ医は、身体に不調を抱えた際、気軽に相談ができ、ときに適切な専門医等を紹介してくれるため、無駄のない診療プロセスを提供する役割を担っている。しかし、日医総研によればかかりつけ医の普及率は5割程度であり、十分に普及しているとはいい難い。そこで対策として、医師会主導によるかかりつけ医制度の啓発活動を提言したい。会社・学校・地域社会等といった教育の場において、制度の概要・紹介等を実施することで多くの人から理解を得られるであろう。

 患者の健康を守るのは大切であるが、その医療従事者の健康を守ることも大切である。適切な対策を実施し、医療従事者がより働きやすい社会を形成していくのが望ましい。

(599字)

どうでしょう?

まとめ、対策①、対策②、ソフトランディングの文章構成で仕上げると、これほどまでにシンプルで美しい小論文ができあがるんです!

皆さんもこの結論先行型を真似しつつ、実際に手を動かしながら、自分なりの答案を仕上げてみてくださいね。

 

現代社会ですでに取り組まれている対策を挙げてもOK!                          

ここまでの内容を教えていると、スクール生から「ローテーション制ってもうすでに社会で取り組まれていませんか?」と質問を受けることが多々ありますが、現代社会ですでに取り組まれていることについて小論文で取り上げても問題ありません。

「この案を周知・徹底し、いまよりも強化すべきだ!」と考えておけば十分です!

皆さんが出された課題に対し思いつく対策案の99%は、すでに大の大人たちが「あーでもない」「こーでもない」と議論し取り組まれているものであって、まったくのオリジナル対策案を思いつくのは非常に難しいわけなんです。

そのため、添削官も

採点官
採点官

あぁ、ローテーション制ね。いまも取り組んでいることだけど、この子は“より推進すべきだ”って言いたいのね。

と捉えてくれます。心配しなくて大丈夫です。

 

対策案は3つ以上挙げてはいけない?         

「対策案って3つ以上挙げちゃダメなんですか?」という質問もスクール生からよく受けます。

ダメじゃないんですが、600字という字数制限を考えるとこれ以上提案を増やすのは避けた方が良いです。

皆さんが思っているよりも600字は短いため、3つ・4つ・5つと提案を増やし徒に段落分けを増やしてしまうと、1つ1つの対策に割ける文章量が減り、あまり深掘りした内容を書き上げることができません。

そうなると、採点官にも

採点官
採点官

う~ん、内容が薄くて説得力がないなぁ…

と思われてしまうかもしれません。

600字という字数制限を考えると、提案や理由は2つに絞るのが妥当と考えておきましょう。

 

実践編:日本医科大学(緊急時の判断)            

では、もう1題見てみましょう。

ちょっと特殊な問題ですが、皆さんだったらどんな小論文を書きますか?

・AさんとBさんは川沿いのテント村にいました

・大雨が降ってきたからか「ダム決壊の恐れが出たため、3時間後に放水します。テント村の方は避難してください」との連絡がありました。

・Aさんは連絡を聞きすぐに避難しようとしましたが、Bさんは「まだ時間あるでしょ? 眠いから少し寝ていくわ。」と言ってなかなか起きなかったため、Aさんは1人で避難しました。

・Aさんが避難所へ着くと、「ダム決壊の恐れが強まったため、2時間早いですがいまから放水を開始します。」と放送が流れてしまいました。

今回のケースでAさんのとった行動について、あなたの意見を600字以内で述べなさい。

2013年度 日本医科大学

結論、理由①、理由②、ソフトランディング

まとめ、対策①、対策②、ソフトランディング

どちらで書けばスムーズかというと、今回はAさんのとった行動が正しかったか否かという結論を先行させ、下の2段落でなぜそのように考えたか理由を持ってくるのが妥当かと思われます。

まずは第1段落目、結論ですが、ここはAさんのとった行動が正しかったか否かについて結論をバシッと配置するのが良いでしょう。

小論文では結論の妥当性も求められます。

たしかに「Aさんの行動が正しかった」という結論で書きあげることもできるでしょうが、合格答案の95%は、Aさんのとった行動は間違っていたと答えるでしょう。

次に第2段落目・第3段落目、理由を述べる段落について考えていきます。

Aさんのとった行動が間違っていたといえる理由はいくつかありますが、Aさんは命・健康という大切なものを守る自覚が弱かったことと、寝起きで判断力の鈍っているBさんの言葉を信用しすぎていること、これらの2点が主な理由として挙げられるでしょう。

まぁ、危険な状態にある場所にいつまでも留まっているのは良い判断とは言えないですよね。

最後に第4段落目でソフトランディングを設けます。意味のないことを書きつつも、これまで述べてきたこととほんのり関連性があり、心地よい読後感を与えるような文章を配置していきます。

今回で言えば、Aさんはどのような行動をとれば良かったかを述べても良いでしょう。

これらを踏まえた上で書き上げた解答例がこんな感じです!

 

解答例:日本医科大学(緊急時の判断)

 私はAさんのとった行動に賛同することはできない。理由は以下の2点である。

 1つ目の理由は、命・健康という大切なものを守る自覚がAさんに欠けていた点だ。未曾有の事態に直面した際は、原理・原則に立ち返り“いま一番大切なことは何か”を考え行動するのが大切である。当然であるが、放水がなされると川沿いのテント村にも水害がおよび、事故に巻き込まれる危険性がある。「3時間後に放水を開始する」とのアナウンスを過信せず、命・健康を守るためAさんはBさんを避難させる必要があった。にもかかわらず、AさんはBさんをテント村に残し、結果Bさんを危険にさらしてしまっているが、これは適切な行動とは言えないだろう。

 2つ目の理由は、寝起きであるBさんの言動を信用しすぎている点だ。BさんはAさんから避難を促された際、熟睡状態にあった。酒や薬で酩酊状態にある人、認知・精神障害にある人、脅迫を受けている人などと同様、寝起きの人は通常、迅速かつ適切な判断を取ることができない。しかし、AさんはBさんの「まだ3時間あるしもう少し寝たい」といった言動を鵜呑みにし、1人で避難所へ向かってしまっている。これはAさんの落ち度と言わざるを得ないだろう。

 謝罪や友人関係の修復は後でもできるが、命は一度失われると取り戻すことができない。多少強引にでも、AさんはBさんを連れ迅速に避難するのが妥当な行動だったと考える。

(600字)

まぁ、一番悪いのはBさんですけどね。※言っちゃった

こちらの解答例もどうでしょう?

結論、理由①、理由②、ソフトランディングの文章構成でまとめていますが、ロジカルで心象の良いものができあがっていますよね。

ぜひ、皆さんも実際に手を動かして今回の問題にチャレンジしてみてください!

 

ロジカルな考えが得意な皆さんであれば、今回お教えした結論先行型の書き方は難なく理解できたかと思います。

・昭和大学

・日本医科大学

・東海大学

・東京女子医科大学

など、様々な大学では今回紹介した結論先行型の書き方がバシッとハマり、一撃で対処することができるでしょう。

しかし、ここまで記事を読んでくれた勤勉な皆さんのために注意喚起をしておきます!

どの大学、どの出題形式でも、今回お教えした結論先行型の書き方で書けるかと問われれば、そうでもありません。

順天堂大学「以下の写真をみて感じたことを書きなさい」

杏林大学「『人を疑う』について論じなさい」

といった抽象度が高く、制限字数が長い小論文については、提起・分析・解決型という思考を深掘りできる文章構成が適していますし、

国際医療福祉大学「少子化の問題点と対策案を述べなさい」

といった具合に、1つの問題で複数のことが問われている小論文については、複数解答型というマルチタスク可能な文章構成が適しています。

ここまで学習してくれた皆さんには、小論文を舐めてかかって失敗するのではなく、ぜひ小論文をキチンと学んだ上で、様々な問題形式へ対応できるようになってほしいと思います!

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おかまる

おかまる受験コンサルティング株式会社 代表|33歳|医学部受験予備校 面接・小論文講師|茨城県出身|小論文検定1級|1級FP技能士|偏差値38→72(慶應・筑波合格)▶慶應義塾大学SFC▶最大手生命保険会社▶予備校で3年連続関東圏No.1評価|大学で研究した 脳科学に基づく“わかりやすい話し方、文書・資料の作り方”を売りにし、講師歴や実績を10年以上重ねる。講義のモットーは「楽しく、わかりやすく!」。趣味は4歳の娘とポケモンごっこすることと、0歳の娘を理不尽なまでに撫でくりまわすこと。

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