【結論】圧迫面接の対処法!
おさらい:コーピング(ストレス対処)とは?
医師はストレスフルな職業です。患者の命を預かっているわけで、上司からの叱責は日常茶飯事ですし、オーバーワークなんて通常業務なわけです。また、「全力を尽くしたのに救命できない」という患者の理不尽な死に直面することだって多いですし、苦手な上司とも付き合わなければなりません。だからこそ、他の職業よりも強いストレス耐性を求められるのでした。
コーピング(coping) とはストレス対処法のことを指します。ストレスに直面したときの対処法をみるため、受験生にいろいろな質問を投げかけ ”ストレス耐性があるか” を点検しています。
今回は、このうちの「圧迫面接の実施」についてみていきましょう。
圧迫面接の概要
圧迫面接とは?
圧迫面接とは、面接官が受験生に対し精神的な圧迫をかけ、ストレス下における対処法・耐性をはかる面接手法です。その内容は、「机を叩く」や「ペンのノック部分をカチカチ鳴らす」といった物理的な圧力をかけるものや、受験生にとって精神的な苦痛となるような質問を投げかけるものがあります。
これらの手段をとるのは、ひとえに受験生のストレス耐性をはかりたいという思いがあるのでしょうが、後述のとおり、大学にとってメリットは少ないわけで、圧迫面接を実施している大学は少ないと考えて良いでしょう。
圧迫面接の質問例
とはいえ、受験生の中には圧迫面接を恐れている人も多いかと思われますので、以下に各大学で問われた代表的な質問例を挙げておきます。
質問例①:深堀りして質問されたパターン
はい!私が医師を目指したのは、父が医師だからです!以上です!
えーっと、お父さまが医師なのはわかるんだけど、それだけが理由なの?お父さんが弁護士、予備校講師とかだったら、医師は目指さないんですか?
えぇと… 社会に貢献したい想いも強いからです…!
あの、弁護士・予備校講師といった他の職業も社会に貢献しているわけだけど、数ある職業の中で、なんであえて ”医師” という職業になりたいと思ったんですか…?
といった具合に、面接官から深堀りして質問され、それを圧迫面接ととらえてしまうパターンです。
質問例②:「医師の素質がない」と煽られるパターン
あ、あの… い、医師を… 医師を目指した理由は… そのぅ…(沈黙)
あの、君ねぇ…。医師は患者さんとコミュニケーションを取らないといけないわけであって、そんなんじゃやっていけないよ? 医師以外の仕事についた方がいいんじゃない…?
といった具合に、「医師の素質」を否定され、それを圧迫面接ととらえてしまうパターンです。このパターンは、面接官の ”いじわる” で質問されていることもあるのでしょうが、面接官の ”やさしさ・親心” で質問されていることが多いのも事実です。
医師という職業は非常にストレスフルな職業で、道を歩み始めて挫折する人も多いでしょう。受験生の人生を棒に振らないためにも、医師という職業の厳しさを再確認する意味で質問しているケースもあるのです。
質問例③:受験生の質問に対し、どれもネガティブな返答をするパターン
はい!私は〇〇の経験を通じ、△△と考え医師を目指そうと思いました!
はぁ… そんなに医師がいいもんかね…?やってて辛いだけだと思うけど?
はい、じゃぁ次ね。将来どの診療科に進もうと考えてるの?
は、はい!将来は、多くの患者の抱える精神的苦痛を取り除いていきたいので、精神科医になりたいと思っています!
出た出た。最近の若い子は血を見たがらないんだよね。精神科とか皮膚科、眼科とかが楽だと勘違いしてるのよ、そういう人は。
といった具合に、自分の受け答えに対しイチイチいちゃもんをつけられ、それを圧迫面接ととらえてしまうパターンです。これはなかなか腹立たしいですよね?こういったストレス下において、その人の耐性・行動を見抜いているわけです。
質問例④:「机を叩く」や「ペンのノック部分をカチカチ鳴らす」等、物理的な圧力をかけるパターン
これは、社会人の企業面接ではごく一部で見られますが、医学部の面接ではほぼ見受けられないパターンです。現に、教えている生徒からはそういった面接形態が実施されたとの報告は、これまでに一度も挙がってきていません。
怒声や大きな物音といった外的な営力を働かせ、受験生に一定の行為を求めるのはコンプライアンス的にNGですし、場合によっては恐喝・強要罪として刑法の構成要件を満たしかねません。
ですので、こういったパターンは「まぁ、ない」と思って良いでしょう。その代わり、上記パターン①~③については実際に実施されたとの報告が挙がってきていますので、注意・対策が必要になります。
圧迫面接の95%は、受験生の ”自爆” と心得よう!
圧迫面接のほとんどが①の深堀りパターン
圧迫面接の95%は受験生の ”自爆” であって、万全の準備をすれば対処が可能です。受験生が圧迫面接と捉えているものの95%は誤解であって、面接官は「通常人であれば自然かつ合理的に考えて、気になってくる質問をする」のであって、突飛なことを聞いて受験生を困らせようとする意図はほぼありません。
したがって、先ほどの質問も…
はい!私が医師を目指したのは、父が医師だからです!以上です!
(えぇ…それだけかよ… もっとこう、「命を救いたい」とか「健康を守りたい」とかいろいろあるだろ…。 ってかお父さんが医師じゃなかったら、医師にならないんかな…)
えぇと… 社会に貢献したい想いも強いからです…!
(いや…ほかの職業も社会に貢献してるやんけ…。そもそも、なんで社会に貢献したいと考えてるんだろう…)
ってな感じで、誰が面接官をやっていても、「普通、コレ聞くよな!」といえる質問をアタリマエにしているだけなパターンが多いのです。にもかかわらず、受験生が誤解をし「ウワァ、アッパクメンセツサレタァ!」と思い込んでしまっているのです。
圧迫面接の具体的な対処法 その1
ひとえに受験生の準備不足なので、徹底的に自己分析をして論理を整え、自分という人間を発信していく必要があります。 そのためには当ブログの内容を丁寧にまとめ、理論武装していくことが肝要です。
特に深堀りされるのが、志望動機・コンピテンシーにまつわる質問たちです。時間に余裕がない人は、せめてこれら2グループの質問だけでも徹底した準備ができていると良いでしょう。
残り5%も、仕事だからやっていると心得よう!
圧迫面接の質問例②・③はなかなか無い!
先ほど、圧迫面接でも②「医師の素質がない」と煽られるパターンや、③受験生の質問に対しどれもネガティブな返答をするパターンがある、との話をしましたが、これらの質問はめったにないと言ってよいでしょう。
なぜなら、圧迫面接はコンプライアンス違反であったり、ときとして犯罪にもつながりかねない面接手法なので、そこまでリスキーな面接形態を採用するメリットが大学側に存在しないからです。
また、受験生も、その大学に通わなくなれば一人の ”お客さま” にあたります。とあるデータでは、「入試面接・入社面接の雰囲気が、そのまま大学・会社のイメージにつながる」と答えた人が多く、ブランドイメージを損ねてでも圧迫面接を採用しようとするメリットが大学側に存在しないのです。
圧迫面接の具体的な対処法 その2
それでもごく稀に、「医師の素質ないね」と煽ってきたり、受験生の回答にイチイチいちゃもんをつけてくる面接形態を採用している大学も見受けられます。このような面接は無くなるのが一番ですが、出題される限りは仕方がありませんね。
対策としては、「相手も仕事でやっている。大変なんだな。」と考え、優しく真摯に回答することが肝要です。
受験生1人:面接官3人の面接では、優しい面接官1人、普通の面接官1人、厳しい面接官1人といった具合に、多種多様な面接官を用意していることがほとんどです。その際、通常では優しい性格をもった面接官も「えぇww 今回おれが ”厳しい面接官” 役かよww まじかwww」と裏で話しながら、実際の面接時に圧迫面接を担当することがあります。
興味深いエピソードを1つ。とある受験生が面接官から圧迫面接を受け、涙目になりながら必死に合格を勝ち取ったそうです。その子が大学4年生になったとき、研究配属に際して、例の圧迫面接官(教授)にバッタリあったそうです。
しかし、その教授は非常に気さくな方だったようで…
生徒「あれ、私のこと覚えて…いらっしゃいますか…?」
教授「覚えてるよww きみ面接のときめっちゃ緊張してたよねww」
なーんてお話をし、その生徒は拍子抜けしたそうです。
この経験からもわかるとおり、面接官は普段の仕事ではない、不慣れな面接を担当し、あまつさえ希望でない質問をしなければならないこともあるのです。面接官も「仕事だから」やっているのであって、完全に ”悪” な人はいないと思料します。「相手も仕事でやっている。大変なんだな。」と考え、優しく真摯に回答するように心がけましょう。
また、仮に面接官から「君、医師に向いてないよ」と言われたとしても問題はありません。あれ、皆さんは医師に向いてないんでしたっけ…?そうですよね、コンピテンシー(自己PR)でもやったとおり、医師に向いていない人はいないのであって、自分のなんらかしらの強みを活かせば「医師に向いている」という論理を整えることができるんでしたよね。
ですので…
あの、君ねぇ…。医師は患者さんとコミュニケーションを取らないといけないわけであって、そんなんじゃやっていけないよ? 医師以外の仕事についた方がいいんじゃない…?
といった具合に詰められても…
おっしゃるとおり、ただいま緊張していて、なかなか言葉が出ない状態です。しかし、貴学入学後は、持ち前の ”忍耐力” ”向上心” で経験を積み重ね、コミュニケーションスキルを養っていきたいと思います…!
といった感じで返答ができますよね。大丈夫です、皆さんは医師に向いてます。
では、今日はここまで! お疲れさまでした!