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【結論】コンピテンシーとは? どう対処するか?
コンピテンシー面接とは?
ほぼ全ての受験校で導入されています
北海道大学の推薦入試では、2019年から「コンピテンシー面接」を導入しました。その人の過去の出来事を深堀し、その人の持つ能力・才能を見極めていくタイプの面接形態で、受験生の皆さんも「始めて聞いたよ…」と面くらったそうです。
ほかにも、東海大学のAO入試(希望の星入試)ですが、これも「学生時代に学業以外で打ち込んできた才能ある人物を採用したい」とのメッセージが隠れており、これもいわゆるコンピテンシー面接にあたります。だからこそ、過去の頑張ってきた出来事を深堀して質問してきますし、提出書類も才能を見抜けるよう多岐に渡っています。
しかし、コンピテンシー面接と明言していないだけで、国立・私立問わずどの大学もほぼすべて、コンピテンシー面接導入しています。これは、企業の人事出身である私だからこそわかりますが、医学部受験の講師でも知らない人がほとんどです。
この記事をご覧のみなさんも、おそらく「はじめて聞いたけど?」という方が多いのではないでしょうか。そのため、以下に丁寧めな説明をくわえておきますね。
で、コンピテンシーってなぁに?
コンピテンシーとは、簡単に言えばPRポイント、自身の強み、みたいなものですが、正確な訳は”行動特性” です。つまり、困難にぶち当たったとき、あなたはどのようにして乗り越えていくことができますか、ということです。
例えば、1年後のテストで90点以上取らないといけない、という苦難があったとしましょう。その苦難の乗り越え方は人それぞれで、①毎日10時間勉強する習慣を1年間継続して乗り越える人もいれば、②勉強仲間をつくり教えあうことで乗り越える人もいます。はたまた、③少ない勉強時間で効率的に学習できるようITツールを活用して整理して乗り越える人もいるわけで、苦難の乗り越え方は人それぞれ異なってくるのです。
このときPRポイント(私の強み)は、①の人は「継続力」になりますし、②の人は「協調性」、③の人は「効率性」になります。
ひと際目立った経験がなくてもアピールはできる
このとき、乗り越えてきた苦難の高さは高ければ高い方が良いですが、低くても問題はありません。つまり、全国大会へ出場したとか、英検1級に合格した、とかスンバラシイ経験はいらないわけです。
例えば、これまで1勝することもできなかった野球チームをまとめ、県の大会で3勝させることができたとか、文化祭でクラス一丸となって練習をし、銀賞をとることができたというのも立派な結果です。
そりゃもう、全国大会へ出場とか英検1級合格の方が印象は強いですが、こと自己PRをするとき、コンピテンシーをアピールするときには、 困難にぶち当たったとき、私はこうやって乗り越えていくことができます と伝えられることの方が大切なわけです。
再現性がある という特徴
コンピテンシーを考える際には、再現性があるという特徴を忘れてはなりません。再現性があるというのは、どんな苦難に何回ぶつかっても、私は同様の力を活かして乗り越えることができますと一貫させることです。
例えば、以下の2例を比較してみましょうか。
悪い例
中学時代は「忍耐力」を活かし乗り越え、高校の委員会活動では「協調性」、部活動では「リーダーシップ」、大学受験では「効率性」を重視して乗り越えてきました。大学入学後は「論理力」を活用し、医師となった際には「探求心」をもって研究をすすめていきます…
どうでしょう?なーんか一貫してなくてキモチワルイですよね? 「君は一体、どんなキャラなの?」って感じです。
良い例
中学時代は「忍耐力」を活かし乗り越え、高校の委員会活動でも「忍耐力」、部活動でも「忍耐力」、大学受験でも「忍耐力」を重視して乗り越えてきました。ですので、大学入学後も「忍耐力」を活用し、医師となった後も「忍耐力」をもって研究をすすめることができます…
ふむふむ… やはり一貫させた方がキャラ付けができていて良いですよね! あ、なんか将来貢献してくれそう!って感じがしませんか?だからこそ、コンピテンシーは一貫させるのが好ましいんですね。
面接の現場では、1分で自身を伝えきらないと「あ、この人話が長いなぁ…」「ちょっと何言ってるか分からない…」と、面接官へ悪印象を抱かれちゃうよ!コンピテンシーを1つ・2つに絞って一貫させることは、自身が実際に話すときにも役立つんだね!
コンピテンシー系の質問ってこんな感じ
コンピテンシ-系の質問例
高校時代、最もがんばったことは?
現役生・浪人生であれば、このような質問がきます。また、再受験生・社会人経験者であれば、「大学生活(社会人生活)ではどのようなことをしてきたか」といった話を振ってくるでしょう。
直近の話題を振り、受験生の取り組みを聞き出すことで、その人がどういった能力・知識を持っているか、またどういったことに興味・関心を抱いているかを詮索します。
自己PRをしてください
ストレートにアピールポイントを聞き出しています。”忍耐力” とか ”他人を思いやる心” といった抽象度の高いアピールポイントで十分です。
社会人の中ではこれまでの経歴と絡め、「医師としてこう貢献できる」という具体的なアピールポイントを、他の受験生と差別化して発信することも良いでしょう。例えば、IT業界にいた知識を活用し、地域医療ネットワークの推進に貢献する、などが挙げられます。
人生で一番苦しかったことは?
通常の受験生であれば、「うちのペットのぺスが死んで…」といった具合に、ナイーブな話に持ち込んでしまうのがオチです。
しかし、「苦しかったけれども、頑張って乗り越えた経験」へと昇華することで、一気にアピールポイントへと変わるのではないでしょうか。そのため、この質問もコンピテンシー系の質問に分類できます。
強み・長所を教えてください
これは自己PRと同様の考えで良いでしょう。厳密にいうと、強みと長所は、能力を表すのか、性格を表すのか、といった点で違いがあるものです。
しかし、医学部受験において強みと長所の違いを理解している面接官は少ないですし、また知っていたとしても、気にする人はほとんどいません。そのため、強み=長所=コンピテンシーと考えて良いです。
リーダー経験はありますか?
いわずもがな、医師には強いリーダーシップが求められます。医師となった人は、看護師・理学療法士はじめ多くの医療従事者の中心となって、チームをけん引しなければなりません。
リーダー経験がなくとも、リーダーシップを発揮した場面でも良いでしょう。つまり、「リーダー」という明確な役割がふられていなくとも、自身が率先してチームを支えることができたのであれば、それでもアピールは可能です。
君、医師に向いてると思う?
なんとも率直な質問ですね。答えとしては「私には向いてません…」との回答は許されないでしょう。そんなことしたら、「あぁ、そう。じゃあ落とすね」と面接官に裁かれかねません。
「私にはこんなコンピテンシーがあるので、将来は医師として貢献できます!」とアピールするのが定石。謙虚なのは良いことですが、くれぐれも「私には医師向いてません…」と卑下することはしないようにしましょう。
あなたを文房具で例えると?
こんな質問されたら、受験生は固まってしまうのではないでしょうか。パッと思いつきで考えるには、結構な思考力と柔軟性が求められてしまいます。
しかし、この質問も「あなたってどんな人?ちょっと文房具で例えてみて。」と聞かれているわけで、結局は「あなたってどんな人?」と、アイデンティティを問われているものです。
これらの質問は同じ回答になる?!
とまぁ、コンピテンシー系のよくある質問を列挙していきましたが、最後に1つ大切な特徴をお伝えしなければなりません。
それは、上記の質問( 高校時代、最もがんばったことは? 自己PRをしてください 人生で一番苦しかったことは? 強み・長所を教えてください リーダー経験はありますか? 君、医師に向いてると思う? あなたを文房具で例えると? )は、大まかに見れば同じ質問であり、同じ回答で済む、ということです。
この記事をご覧の方のほとんどは「ちょっと何言ってるかわからない」状態かと思われます。そのため、この問いについての回答を、順を追って記事で説明していきますので、以下の記事からじっくり読んでみてくださいね。
では、今日はここまで! お疲れさまでした!