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【結論】MMIの対処方法とは?
MMIの出題例
あなたは大学1年生です。入学以来、いつも一緒に講義を受けている友人Aさんがいました。しかし、その友人Aさんは、両親の経営が上手くいかなくなってしまい、お金を工面する目的から秋頃からアルバイトを入れることが増えました。そのため、講義へ遅刻・欠席することが多くなってしまい、教授から「最後の試験で高得点をとらなければAさんは落第だ」とまで言われました。
そこでAさんから「申し訳ないが、最後の試験でカンニングさせてもらえないか」とお願いされました。あなたはどういった対処をしますか、またそれはなぜですか?
MMIの回答例文:おかまるの場合
私であればカンニングの依頼を断ります。
医学部での試験は、治療にあたる際の知識・技術を担保するものとなっています。まだ見ぬ患者さんを適切に対処するためにも、そして友人Aさんのためにもならないですし、決して誠実な対応であるといえないからです。
ですが、他の取りうる手段で、友人Aさんのためにできることはやってあげたいと思います。例えば、最後の試験まで付き添って学習を進めたり、資金繰りのための諸制度を調べてあげたり…といった具合です。
MMI(Multiple Mini Interview)の概要
MMIとは?
MMI(Multiple Mini Interview)とは、複合的な観点から受験生の判断力・資質・コミュニケーション能力等を確かめる面接形式のことをさします。
世間一般のイメージでは、面接官1:受験生1で行う面接を数部屋めぐり(平均5部屋程度でしょうか)、数人の面接官から評価を受ける、いわゆるオードブル形式の面接を「MMI」と呼ぶことが多いのではないでしょうか。
しかし、複数の部屋をめぐることがMMIの本質ではありません。MMIの本質は、「志望動機」や「PRポイント」などを問う通常の面接と異なり、事例形式・ロールプレイング形式といった、現実対応的な問題を繰り出し、その受験生がどのように対処するのか、どのような人間性を有しているのかを複合的に判定するところにあります。
どんな大学で出題されているの?
私立医学部でMMIを出題することで有名なのは、東京慈恵会医科大学や東邦大学、藤田医科大学でしょう。国立医学でも、千葉大学などは有名どころです。これら大学を考えている受験生は、MMI形式の出題に慣れておく必要性が高いといえるでしょう。
とはいえ、東京医科大学・東京女子医科大学・愛知医科大学はじめ、完全にMMIを実施していなくとも、通常の面接の中でMMIチックな出題(1・2題程度)をするところは多く存在します。ですので、国公立・私立問わず医学部受験を考えている人は、MMIの対策もしておくことが望ましいでしょう。
MMIの出題パターン例
事例形式
まずは事例形式の出題パターンです。
10歳と80歳の患者、同程度の重傷を負ってきた患者のうち、どちらを優先対応する?
いまこの瞬間に地震が起きたら、真っ先にどのような対応をする?
といった具合に、具体的な事例を想起させ、その人の思考プロセスを確かめるのです。これまでに経験したことのない未曾有の事態を想定することが多いため、当日、面食らう人が続出するMMIです。
これはMMIのうち、最もオーソドックスな出題形式で、医学部受験で広く用いられているタイプとなっています。MMI対策を始めるときは、この形式から練習してみると良いでしょう。
4コマ漫画・絵画形式
次に、4コマ漫画・絵画形式の出題パターンです。文字通り4コマ漫画や絵画を見た上で、受験生自身がどのように思うか、どのように振る舞うか(どう発言するか)を問うてくるものです。
先述の「事例形式」とは異なり、現実社会で起こりそうな事例をテーマにして作られることが多いため、その人の現実的な対応力が如実に表れる出題形式であるといえるでしょう(上司に ”誤り” を指摘するとき~みたいな、日ごろから「う~ん、どう伝えたものかなぁ」と悩むものなどが例ですね)。
図表・グラフ等読解形式
次に、図表・グラフ等読解形式の出題パターンです。公的機関の出している図表や、データ等を用い、その人が迅速かつ冷静にデータを汲み取って私見を述べることができるかを見極めています。
図表・グラフ等読解形式の出題の詳細対応は、小論文の講義に譲りたいと思いますが、おおまかにいって、細かい数値でなく大きな数値や傾向に着目すること、事実(客観)から推測(主観)という流れを意識すること、与えられた図表・グラフをフル活用し、それぞれの関連性をつかむこと、がポイントとなります。
キーワード説明形式
次に、キーワード説明形式の出題パターンです。
といった具合に、キーワードを受験生の前に用意し、そのキーワードについて説明を求める問題となっています。これまで「おかまるブログ」をご覧いただいた人であれば分かると思いますが、「知識」系の質問に似ていますよね。
ここでも、ウソをついたり、テキトーに答えないことが肝要ですが、それに加え、与えられた時間いっぱいを使って説明する力が求められるのです。したがって、受験生の一般的教養力だけでなく、論理的思考力、説明する力などが測定されています。
ロールプレイング形式
最後にロールプレイング形式の出題パターンです。
いまから手術を受けた患者さんのご家族が来訪されるので、医療事務(窓口)として対応をお願いします。 ただし、本人でなければ「診断書」は渡してはいけないから、その点は注意してくださいね。
いまから○○中学校にお詫びの電話をいれてください。お詫びの内容は以下のとおりです。
といった具合に、クレーム処理や電話対応等、実生活で ”あるある” な困った事例を想起し、具体的に対処してもらうものがその例です。
医学部生は患者さんと接する機会が多いため、ヒジョーシキな対応力を持っていては大学病院側が不利益を被ってしまいます。通常人であれば有する程度の、一般的対応力さえ兼ね備えていれば問題ありません。
MMIの出題形式をサラリと説明していきましたが、「おかまるブログ」では、具体的な出題例と対策についても掲載していこうと考えています。随時更新してまいりますので、今後もチェックをお願いします。
MMIの出題例と対処法
MMIの対処法-MMI4原則
医学部予備校で講義をしていると…
見る限り、MMIって突飛な問題が多いから対策が出来ないんじゃないでしょうか…? 私、柔軟な対応が苦手なので心配です…!
といった質問を良く受けますが、その気持ちはよ~く分かります。一朝一夕でMMI対応力を身につけることはできませんが、MMIで求められる4原則に沿って回答を考える練習を重ねれば、じっくり着実に対応力を養成していくことが可能となります。
では、MMIの回答を考える上で大切な4原則とはいったいどんなものでしょうか。MMIの出題例とその回答例を見ながら、MMI4原則をインストールしていきましょう。
【出題例】 いまこの瞬間、地震が起きたら?
あなたはいま、○○大学医学部 二次試験(面接)の真っ最中です。14:30(面接開始3分後)、いまとまったく同じ状況で、○○大学付近を震源とする震度7の直下型地震が発生しました。
あなたは真っ先にどのような行動をとりますか。また、その理由をお聞かせください。
これまでに経験したことのない未曾有の事態を想定させ、どのように振る舞うか点検している「事例形式」MMIですね。
この場面では、命・健康の危機、医学部受験という大切な勝負、目上の人(面接官)との関係など、様々な考慮要素がごちゃ混ぜにミックスされていて、どれをどこから判断して良いのかコンガラガッチュレーションになってしまいます。(え
さて、このような未曾有の事態を取り出されたときには、どのように判断していくのが賢明なのでしょうか。
原則①:原理・原則に立ち返って判断すること
ここで、MMIの第1原則「原理・原則に立ち返って判断すること」が大切になってきます。言い換えれば、この場面で一番大切なことは何かに焦点を当てるということです。
先述の例では、命・健康の危機、医学部受験という大切な勝負、目上の人(面接官)との関係など、様々な考慮要素がごちゃ混ぜになっていますよね。未曾有の事態では、このように優先順位が見えにくくなってしまう状況が与えられることになりますので、すべてを考慮しようとするとキャパオーバーとなることが多いです。
そのため、この場面で一番大切なことは何かに焦点を当て、思考プロセスを研ぎ澄まして回答することが肝要です。
【回答例】いまこの瞬間、地震が起きたら?
はい。この場面で一番大切なことは、面接会場にいる全員の命・健康を守ることです。そのため、面接試験を一時中断し、非難のためドアを開放した上で、全員が机の下に隠れることができるよう行動します。
地震がおさまった後も、他の受験生・先生方が無事であるかの確認をとることが最優先で、安全が確認されるまで面接試験は再開しないのが良いかと思われます。
【出題例】友人がカンニングを求めてきたら?
あなたは大学1年生です。入学以来、いつも一緒に講義を受けている友人Aさんがいました。しかし、その友人Aさんは、両親の経営が上手くいかなくなってしまい、お金を工面する目的から秋頃からアルバイトを入れることが増えました。そのため、講義へ遅刻・欠席することが多くなってしまい、教授から「最後の試験で高得点をとらなければAさんは落第だ」とまで言われました。
そこでAさんから「申し訳ないが、最後の試験でカンニングさせてもらえないか」とお願いされました。あなたはどういった対処をしますか、またそれはなぜですか?
日常生活でありそうながらも、倫理・道徳観を問うてくる微妙で繊細な問題ですね。このような問題では、どのように回答を見出していくべきなのでしょうか。
原則②:優しい心・誠実さを持って回答すること
ここでは、MMIの第2原則「優しい心・誠実さを持って回答すること」が大切になってきます。クラスに1人はいませんでしたか、聖母マリアのように優しい人(?)。あの人だったら、この問題をどう回答するかなーっと考えてみるのが良いでしょう。
ただ、ひたすら甘やかすことだけが優しさとは言えません。ときに、相手方のことを思って、甘やかしたりしないことも大切になってきます。
本問において、優しい心・誠実な心を持った人であれば「OK!カンニングね!任せて!」…なんて言うでしょうか…? …言いませんよね! 真の優しさ・誠実さをもった人であれば、まだ見ぬ患者さんのことを想って「Aさんには確かな知識・技術を身に着けてもらいたい!」と考え、「Aさん、カンニングはいけないよ。」と諭すのではないでしょうか。
とはいえ、「Aさん、カンニングはいけないよ。」「カンニングはダメ。」「いや、カンニングはダメだってAさん、あきらめな。」とだけ伝えるようでは、あまりにも冷たいと思いません?この点、どうすれば良いでしょうか…?
原則③:現実的・バランス力ある回答をすること
ここで、MMIの第3原則「現実的・バランス力ある回答をすること」が大切になってきます。「カンニングはダメ。」「カンニングはダメ。」と突き放すばかりでなく、不遇な扱いを受けているAさんに手を差し伸べてあげるのが、真の人格者ではありませんか?
これらMMIの第2・3原則を考慮し、回答を考えてみましょう。
【回答例】友人がカンニングを求めてきたら?
私であればカンニングの依頼を断ります。
医学部での試験は、治療にあたる際の知識・技術を担保するものとなっています。まだ見ぬ患者さんを適切に対処するためにも、そして友人Aさんのためにもならないですし、決して誠実な対応であるといえないからです。
ですが、他の取りうる手段で、友人Aさんのためにできることはやってあげたいと思います。例えば、最後の試験まで付き添って学習を進めたり、資金繰りのための諸制度を調べてあげたり…といった具合です。
【出題例】障がい者へ不満漏らす人をどう思う?
8月某日、あなたは遊園地に来ています。人気アトラクションに乗るため、夏の炎天下、2時間待ちの行列に並んでいました。
すると、車イスに乗った障がい者男性がやってきて、“車イスに乗っている”との理由で、遊園地スタッフから行列の最前列へと案内されていました。もちろん、その障がい者男性は「ファストパス」といった類の特別待遇チケットを所持しているわけではありません。
ここで、長蛇の行列に並んでいる人の1人が「障がい者といえど、車イスに乗っているだけだろ! 炎天下の中、順番を待つのは俺ら健常者と一緒なんだから、きちんと順番守らせろよ! これこそ不公平だろ!」と、遊園地のスタッフに怒鳴りつけていました。
あなたはこの様子を見て、どのように感じますか。
これは、障がい者団体主催のセミナー等でも見受けられる問題です。一見すると、怒鳴りつけている健常者の言い分も正しいように聞こえますが、はたしてどのように考えていくべきなのでしょうか…?
原則④:広い視野・多様な価値観を認めること
ここで、MMIの第4原則「広い視野・多様な価値観を認めること」が大切になってきます。つまり、一方向的で偏った考えのもと決断を下すのではなく、多くのケースを想定して回答すべき、ということです。
ここで付記しておきたいのは、他者の自己決定権を尊重して判断してほしいということです。MMIでは、いろんな価値観のもと対立利益の生じる問題が多く存在します(つまり、○○を重視すると△△がおろそかになる…とはいえ、△△を重視すると○○がおろそかになる…相容れない2つの利益が拮抗するような出題ということですね)。
こういった問題が出たときに、「”おれは” こう考える!」「”おれは” こうしたい!」といった具合に、自身の偏った考えを述べるのではなく、「私はこう考えますが、”他の人であれば” こういう考え、こういう考えの人もいるかと思われます」という風に、広い視野・多様な価値観を認める回答を心がけてほしいのです。
では、これらを踏まえた上で、先ほどの例の回答を考えてみましょう。
回答例:障がい者へ不満漏らす人をどう思う?
たしかに、車イスに乗っている方も、私たち健常者も、一見すると待つ時間や条件が同じように見えますし、長蛇の列に並んでいる方が「不公平だ!」と怒鳴りつけるのも頷けます。
しかし、アトラクション付近の列では、若干の勾配があったり窮屈な場所があったりして、私た健常者にとってなんでもない箇所でも、車イスに乗っている方にとっては心地の悪い箇所が多くあるのではないでしょうか。
また、車イスに乗っている方の疾患がどういったものかは一目で判断できません。不慮の事故により両足を不自由にしたのかもしれませんが、場合によっては、神経系の病を抱えているのかもしれません。詳しくは分からないのですが、神経系の病を抱えることによって、汗をかくことができない、体温調整ができない人もいるようです。
これらを考慮すると、一概に「不公平だ!」と言って、車イスの男性を長蛇の列に引き戻すことは同意できかねます。
MMIは加点方式(みたいなもの)?
以上お伝えしてきたとおり、MMIは一朝一夕の対策では太刀打ちできないような問題が用意されています。とはいえ、完全に対策不可能なわけではなく、MMI4原則を守り、迅速かつ冷静に回答するトレーニングを重ねていくことで、少しずつスキルを向上させることが可能となります。
あと、最後にお伝えしておきたいことが1つ。それは、「MMIは加点方式(のようなもの)である」ということです。MMIにおいてもったいないことは、自身の思考プロセスをキチンと話せず、面接官の心象を下げてしまうことです。
大学の友人が…「カンニングさせて」と言ってきたら、どうしますか?
カンニングさせません。
(結論だけかよ…)
えぇと…それはなんでかな?
カンニングは良くないことだからです。
(こんどは理由だけかよ…)
えぇと…大切な友人が不遇な扱い受けてるけど、それはいいの?
…なーんて受け答えされては、その人が頭の中でどのように考えているか判断できず、低い点数をあげるしかないですもの!
ですので、MMIでは自身が結論に至るまでに辿ってきた思考プロセスを丁寧に述べ、「私はこういう考えで、ここまで考えていますよ~」というのをアピールしましょう。そういう意味では、MMIは加点形式と思っても良いでしょう。
では、今日はここまで! お疲れさまでした!