【結論】大学志望理由の作り方
この記事を見ることで、以下のような「大学志望理由」の作り方がわかります。
北里大学志望理由の例文:合格者の場合
理想の医師像
私は将来、高い医療技術だけでなく、観察・傾聴・共感に基づく臨床コミュニケーションスキルを駆使して、患者さんに寄り添うことのできる心臓外科医を目指します。
この理想の医師↓となるために…
私が理想の医師を目指す上で、貴学を志望する理由は2つあります。
1つ目は、コミュニケーション能力が学べるためです。貴学では、他学部とも連携した「チーム医療教育プログラム」があり、他の医療従事者と連携を取りながら、1つの目標に向かって協働していく力が養えると考えます。また、「早期体験学習」や「農村実習」といった、体験型の学習が多いのも魅力に感じました。生命科学の総合大学であることの利点を活かしたこのカリキュラムを通じ、自身の人間性、ひいては患者さんに寄り添うためのコミュニケーション能力を体得してまいります。
2つ目は、医療知識や医療技術が着実に学べるためです。2017年に完成した臨床教育研究棟では、充実した実習環境等が整っており、自身の医療知識・技術を効率良く学習することができると期待しています。さらに、貴学の器官系別総合教育において、疾患を総合的に捉え系統的に分析する力を身に着けてまいります。
以上の2点より、貴学への入学を強く志望いたします。
おさらい:志望動機で一番大切なこと
志望動機で一番大切なことは、一貫性を持たせることでした。上図のように、「なぜ、医師になりたいのか」「なぜ、〇〇大学なのか」「将来、何科(研究)を志望しているのか」「理想の医師像は」との質問は、1つのエピソードで答えを一貫させるのが良いのでしたね。
なぜ一貫性を持たせるのが良いのか、どのようにして一貫性を持たせるのか、詳しくは別記事で丁寧に記述してありますので、そちらをご参照くださいね。
今日は「大学志望理由」の作り方にポイントを絞ってお話していきます。
受験生のホンネ: 〇〇大学の熱い想いがない…
大学志望理由を考える際、受験生からこのような質問を受けることが多くあります。
学力を考慮して自分の受験校を選んでいるので、受けようと考えている大学に縁やゆかり、「どうしても行きたい!」といった熱い想いがないのですが…
たいていの受験生は、医学部受験を ”偏差値” ベースで考えているため、「自分の行きたい大学を決め、それに向けて学力を向上させる」というよりも、「自分の学力をひたすら上げ、それに見合った大学へ行く」といった考えが多いかと思われます。
本来であれば前者のような考えが良いのでしょうが、医学部受験が最難関の試験であることを考えると、後者の考えは仕方ないですし、むしろ受験戦略上妥当なものかと思われます。
しかし、そこで大変になるのが「大学志望理由」をどう作るか?問題ですよね。今回は、 縁もゆかりも、「どうしても行きたい!」といった熱い想いもない… そんな大学志望理由を、面接受けするように仕上げていく方法を指導していきます。(はじまるよー!
3STEPでできる!大学志望理由の作り方!
① 理想の医師像とのつながりはあるか?
まずは、理想の医師像とのつながりを持たせることです。上図の緑矢印→でも示しているとおり、「理想の医師像」と「大学志望理由」はつながっているようにしましょう。つまり、理想の医師を目指す上で、最適な環境が〇〇大学でした!との論理にもっていくことが肝要なのです。
円もゆかりもない大学を受ける際でも、社交性が求められる ”面接” という科目では、「私が行くべき大学はここしかないんです!」と伝えられる必要があります。
「自身がこの大学病院で生まれた、救われた」とか「父(母)がこの大学の卒業生、勤務している人である」といった特殊事情がない限り、自分の目指すべき方向性(≒理想の医師像)とマッチさせるしかないのです。
② 理想の医師となるために不足していることは?
次は、理想の医師を目指す上で不足していることを考えましょう。上図にあるとおり、「私には目指している理想の医師像がある、でもいまは〇〇や△△が不足していて未熟である…」と思われる点を洗い出すのです。
具体的には、「圧倒的に医療技術が足りない…」と考える人もいるでしょうし、「チーム医療で求められる連携感が足りない…」とか「国際社会で戦える国際性が足りない…」と考えるひともいるでしょう。自身と向き合って、”どういった力を身に着けていかねばならないのか” じっくり考えてみましょう。
例えば、「知識と技術はもちろん、臨床コミュニケーションスキルと強い使命感を備えた 救急医となり、多くの命を紡ぐことに尽力」したいと考えている私にとって不足していると感じるのは、多くの命を紡げる医療知識・技術と、過酷な状況でも患者に癒しを与えるコミュニケーション能力 でしょうか。
③ その不足することは〇〇大学で学べるか?
最後に、不足していることが〇〇大学で学べるかについて考えましょう。ここは、先述②と異なり、できるだけ具体的なものをもってくることが説得力アップのコツです。
例えば、私が帝京大学医学部を志望したとしましょう(ちなみに、縁もゆかりもありません)。先述のとおり、私であれば医療知識・技術とコミュニケーション能力を学びたいと考えています。
帝京大学では、アウトカム基盤型カリキュラムといって、1~6年次まで到達目標を明確にした講義が展開されています。また、「高度救命救急センター」が有名であるため、救急医を目指す私にとって救急に力をいれているこの環境は最適だといえるのではないでしょうか。このように、帝京大学に入学すれば医療知識・技術は充分に身につくと考えます。
また、FRUや実習室といった施設を用意した上で、「PBLチュートリアル」を重んじた教育がなされているため、医療従事者間の連携や、患者さんに接する際のコミュニケーションスキルを学ぶことはできるのではないでしょうか。
以上のような3STEPを追っていくと、難解であった大学志望理由もサクッと作成できます。試しに作成した例(おかまるの例)が以下の通りです。
帝京大学志望理由の例文:おかまるの場合
理想の医師像
知識と技術はもちろん、臨床コミュニケーションスキルと強い使命感を備えた救急医となり、多くの命を紡ぐことに尽力します。
この理想の医師↓となるために…
私が理想の医師を目指す上で、貴学を志望する理由は2つあります。
1つ目は、高度な知識と技術が学べるためです。貴学では「アウトカム基盤型カリキュラム」を導入しており、着実に知識・技術を体得したい私にとって、到達目標を明確にした講義は魅力に感じました。また、1978年から発足された「高度救命救急センター」では、多くの患者を受け入れ命を紡いできた、とうかがっています。救急科を目指す私も、この「高度救命救急センター」を抱えた貴学で学び、社会に貢献していきたいと考えています。
2つ目は、高度なコミュニケーションスキルが学べるためです。先ほどの「アウトカム基盤型カリキュラム」では、患者とのコミュニケーションについても体系的に学習できます。それに加え、貴学ではFRUや実習室といった施設を用意した上で、「PBLチュートリアル」を重んじた教育を実施しているため、医療従事者間の連携を学ぶ機会が充実していると考えました。
以上の2点より、貴学への入学を強く志望いたします。
複数の大学受験生必見! 10校分の動機作成は簡単!
さて、ここまで「医師志望理由」「大学志望理由」「〇〇科/研究医 志望理由」「理想の医師像」と、志望動機で問われる根幹の質問を整理してきました。しつこいようですが、これら志望動機系の質問は一貫性が強く求められることを頭に入れておいてくださいね。
と、講義をしていると、生徒からこのような質問を多く受けます。
先生、私、10校の医学部を受験することが決まってて… そんな何校も何校もブレのない論理(軸)をつくるなんて無理です…
うーん、たしかに。ここまで大変な思いをした人であれば、ブレのない志望動機をつくることの大変さに気付いているので、10校分も志望動機を作成していくのは大変に感じるかもしれませんね…。
しかーし! このブログの目的は「急がば回れ」。最小限の対策で万全の準備をしたいわけです!となると、この志望動機作成方法をつくったのも、何か労力が楽になるポイントがあるからなんですね!
医師・〇〇科、理想の医師像-変わらない自分
まず、上図の赤で色分けしている質問項目「医師志望理由」「理想の医師像」「〇〇科/研究医 志望理由」は、大学ごとに変わる自分なのでしょうか?
…変わりませんよね! そう、「医師志望理由」「理想の医師像」「〇〇科/研究医 志望理由」 は、どの大学を受ける際にも基本的には変わらないはずです。逆に、「〇〇大学受けるときは手術を受けた経験が医師志望理由…」「△△大学受けるときは骨折した経験が医師志望理由…」と変わっていったら怖いですもんね。
これら3つの質問に対する回答は、どの大学でも変わらない回答をすればいいわけで、作成する志望動機は1つずつしかないはずです。
大学志望理由-大学ごとに変わる自分
次に、緑で色分けしている質問項目「大学志望理由」は、大学ごとに変わる自分なのでしょうか?
…大学ごとに変わってきますよね! どの大学も志望理由が一緒ではおかしいわけです。例えば、先ほどお話した帝京大学と同じような志望理由を国際医療福祉大学でも話すと…
はい、私が国際医療福祉大学を志望したのはアウトカム基盤型カリキュラムがあるからです!
(たしかにアウトカムは意識してるけど、ウチでは別に推してないよな…)
なーんて! 気まずい空気になって違和感を感じてしまうんですよね!だからこそ、大学志望理由はその大学ごとの特色をとらえた上で自身の志望理由へと絡めていくことが大切であって、受験校の数だけ大学志望理由は用意しないといけないんですね。
とはいえ、10校分の大学志望理由作成は簡単!
ってことは、「大学志望理由」だけは受験校分つくらないといけないから大変じゃないですか?
という声が聞こえてきそうですね。実際に講義をしていると、生徒からこういった声を聞きます。しかし、その受験校ごとに変えなければならない「大学志望理由」も、本当に作成するのが大変なんでしょうか?
上記の 3STEPでできる!大学志望理由の作り方! を読んでいただいた方であれば、「大学志望理由」は①理想の医師像を目指すため、②不足している要素を、③その大学であれば学ぶことができる、といった論理にするのが良いことが分かっていますよね。
帝京大学を受けようが、国際医療福祉大学を受けようが、国立大学を受けようが、どの大学を受けるにしてもこの論理は変わらないので、作るときはある程度被ってくるんです。
私の例であれば、理想の医師を目指すためには医療知識・技術とコミュニケーション能力が必要で、帝京大学では高度救命救急センターやTBLチュートリアルを通じて、これらを学ぶことができたんでしたね。
同様に、国際医療福祉大学でも独自のカリキュラム等を通じて、医療知識・技術とコミュニケーション能力が学べるといえればいいのです。うーん、国際医療福祉大学であれば90週に渡るクリニカルクラークシップ… 7人に1人が留学生であるような多様性ある環境は魅力的ですし、これらのカリキュラム等をとおして医療知識・技術とコミュニケーション能力は学ぶことができます。
以下、国際医療福祉大学ver で書いた、おかまるの大学志望動機を記します。
国際医療福祉志望理由の例文:おかまるの場合
理想の医師像
知識と技術はもちろん、臨床コミュニケーションスキルと強い使命感を備えた救急医となり、多くの命を紡ぐことに尽力します。
この理想の医師↓となるために…
私が理想の医師を目指す上で、貴学を志望する理由は2つあります。
1つ目は、高度な知識と技術が学べるためです。 「国際医療福祉大学成田病院」や「成田シミュレーションセンター」において、最新の設備で実践的な教育が受けられるのは強い魅力だと感じています。また、90週に渡る「クリニカルクラークシップ」を通じ、確固たる医療知識・技術を最前線で学んでいきたいと考えます。
2つ目は、高度なコミュニケーションスキルが学べるためです。貴学では留学制度や留学生の受け入れ、国際交流イベントなどが非常に充実しているため、多くの価値観を持った人々と触れ合う経験が増えます。多くの価値観に触れ、人間性を磨くことで、患者や医療チームのメンバーとコミュニケーションをとるときに活かせると考えました。また、徹底した英語教育により英語をコミュニケーションの手段として血肉と化すことで、進歩し続ける医療知識を学ぶ際の基礎とできるのも魅力に感じています。
以上の2点より、貴学への入学を強く志望いたします。
どうでしょう? 先ほどの帝京大学ver と比較すると…
帝京大学志望理由の例文:おかまるの場合
理想の医師像
知識と技術はもちろん、臨床コミュニケーションスキルと強い使命感を備えた救急医となり、多くの命を紡ぐことに尽力します。
この理想の医師↓となるために…
私が理想の医師を目指す上で、貴学を志望する理由は2つあります。
1つ目は、高度な知識と技術が学べるためです。貴学では「アウトカム基盤型カリキュラム」を導入しており、着実に知識・技術を体得したい私にとって、到達目標を明確にした講義は魅力に感じました。また、1978年から発足された「高度救命救急センター」では、多くの患者を受け入れ命を紡いできた、とうかがっています。救急科を目指す私も、この「高度救命救急センター」を抱えた貴学で学び、社会に貢献していきたいと考えています。
2つ目は、高度なコミュニケーションスキルが学べるためです。先ほどの「アウトカム基盤型カリキュラム」では、患者とのコミュニケーションについても体系的に学習できます。それに加え、貴学ではFRUや実習室といった施設を用意した上で、「PBLチュートリアル」を重んじた教育を実施しているため、医療従事者間の連携を学ぶ機会が充実していると考えました。
以上の2点より、貴学への入学を強く志望いたします。
赤線の部分はまったくもって一致していて、黄色線の部分だけが変わっていますよね!この作り方であれば、10校分仕上げるのも苦労しませんし、何よりブレない自分ができていて、健全な気持ちで面接に挑むことができます。
仮に、別の大学志望理由をつくるとなっても、コーヒーでもすすりながらパンフレットを眺め、「あ、この理念、コミュニケーションに結びつきそうだべ。」「あ、このシミュレーションセンター、医療知識・技術に結びつきそうだべ。」といった具合に、各大学の特色をとらえつつ、自身の学びにどう活かせるかを考え蛍光ペンを引けば、それだけで大学志望理由が完成します。
では、今日はここまで! お疲れさまでした!