【結論】医師志望理由の作り方は?
この記事を見ることで、以下のような「医師志望理由」の作り方がわかります。
医師志望理由の例文:合格者の場合
私が小学4年生のとき、心室中隔欠損症で入院・手術を経験しました。両親が多忙な時期であったため病院に来てくれることが少なく、さらにはじめての手術であったため、私は大きな不安を抱えていました。
しかし、私を担当してくれた外科の先生は「よくある病気だから大丈夫だよ」といった優しい声かけをしてくれたり、時間があるときには病室を訪れ、当時興味のあった人体に関する話を分かりやすく話してくれたりと、親身になった対応をしてくださいました。そのおかげで、私は前向きに手術を受けることができ、日常生活を取り戻しました。
この経験から私は、命・健康が当たり前のものではなく尊いものであると学び、それを支えることのできる ”医師” という職業に強い憧れを抱くようになりました。
※理想の医師像・〇〇科 志望理由省略
(話すのにかかる時間:50秒)
医学部受験 面接の要となる “医師志望理由”!
「医学部志望理由を教えてください。」「なぜ、医師になろうと思ったの?」… これらの質問は、受験生が面接の勉強をはじめたとき、出願時の提出書類を仕上げるときに、はじめて壁となる質問でしょう。これまで学校で ”正解のある勉強” ばかりやっているので、どうしても内面にせまるような ”正解のない勉強” は勝手がわからないものですねぇ…
とはいえ、テキトーに医師志望理由を作っていたのでは…
社会に貢献したいので、医師を目指しました!
予備校講師とか、警察官も、社会には貢献してるんだけど…
えーっと… 父が医師であったので、医師になりたいと思ったんです!
…お父さまが弁護士だったら弁護士に、銀行員だったら銀行員になってたの?
なーんて!受験生にとって、厳し~い(面接官にとってはアタリマエの)返答が容易に想像できますよね!笑 そうなんです、面接官に「あぁ…そういった理由なら、医師になるしか道はないですよねぇ…!」と思ってもらえるような、理詰めされた医師志望理由が必要なんですよね。
この記事では、付け焼刃的な対策でなく、ロジカルで核心的な医師志望理由をつくる方法をお伝えしていきます。具体的な例も交えつつ、順を追って説明していきますので、最後までお付き合いくださいね。
まずは、「本音」で医師志望理由を考える
まずは医師志望理由を考える前に、自分の「本音」に立ち返ってみましょう。自分の「本音」がどういったものか振り返っておくことは、今後、志望動機をつくっていく上でヒジョーに役に立ちます。
というわけで、いまから志望動機の核心的な4つの質問をしていきますので、心の中でその答え(本音)を考えてみてくださいね。現役生の方も、浪人生・再受験生の方も、一度原点に立ち返って内なる自分と向き合ってみましょうか。いいですか?いきますよ?
①なぜ、医師になりたいのか
なーんで、ほかの職業じゃなく「医師」という職をめざしているんでしょう?あるいは、「純粋に医学を学びたい!」と考えている人は、なぜ「医学」という学問に興味を持ったのでしょうか?類似した他の職業・学問と比べ、どこがどう違うのか考えてみるのも良いですね。
②なぜ、〇〇(=第1志望の大学)大学か
医学部に入りたいのは分かった、でもなんで〇〇大学(=第1志望の大学)に入りたいんでしょう?日本の医学部は、文部科学省のルールに縛られているため、6年間の過ごし方がほとんど一緒になっています。にもかかわらず、なーんでウチ?(少しいじわるですよね。「偏差値ですよ!(怒」って反論したくなっちゃう)
また、地方の大学を受験する場合、”東京生まれ東京育ち” といったような、縁もゆかりも感じない受験生に対しては、なぜ、この県を受験しにきたのか という地域志望理由も問われるでしょう。
③なぜ、研究医/〇〇科医なのか
医学部に入りたい想いも、ウチの大学に入りたい想いも分かった。じゃあ、将来は具体的にどんな仕事がしたいんでしょう?臨床医になる?研究医?あるいは、厚生労働省勤務?産業医?ベンチャー企業経営?… いくつもある選択肢の中から、なぜその仕事を選定したのか、その理由も聞かれることがヒジョーに多いです。
④理想の医師像は
20年後、30年後… 自分はどんな医師になっていたいか、ビジョンは見えてくるでしょうか?20年後、30年後といえば、皆さんが大学を卒業し、研修期間もとっくに終え、一人前の医者となって10数年くらいたっている頃ですよね。ビジョンが明確でないと、大学で学ぶことも、選定する診療科もブレてしまいます。さぁ、皆さんはどこで、どのような医者となって活躍していたいですか?
志望動機は一貫性が大切!
さて、皆さんの「本音」が聞けたところで、ここからは「社交性ある(面接本番でも使える)」志望動機の作り方を学んでいきましょうか。面接官から問われる質問は、集約すると6グループに分かれるんでしたよね?
面接で問われることは上図の6つ、中でも「志望動機」「コンピテンシー」はヒジョーに重要なんでしたね!いまはこの「志望動機」グループの質問、とりわけ「医学部を志望した理由は何か」を整理しているわけですが、ズバリ、「志望動機」グループの質問は ”一貫性” が大切になってきます!
上図のように、「なぜ、医師になりたいのか」「なぜ、〇〇大学なのか」「将来、何科(研究)を志望しているのか」「理想の医師像は」との質問は、一貫させるのが良いです。
…と言われても、何がなんだか、頭の中がコンガラガッチュレーションですよね。
ここで、例を挙げつつ説明していきたいと思います。以下に、「私おかまる(面接プロ講師)であれば、このような志望動機を用意する!」といった、いわば模範解答的な(?)例文を用意したので、そちらを参照しましょうか。
医師志望理由の例文:おかまるの場合
小学6年生のとき、私は重度の熱中症で倒れ、近くの総合病院へと搬送されました。意識が朦朧とし、手足がけいれんするほどの辛い経験であったため、私は死んでしまうのではないかと不安を抱えていました。しかし、そこで担当してくださった救急医の先生が、冗談交じりでコミュニケーションを取ってくれただけでなく、三日三晩懸命に看病をしてくれたため、私は生き永らえることができました。
後日、「私が入院した当日に、その担当医は自分の息子さんを亡くしていた」という話を聴き、人手が不足していた病院に駆けつけてくれたことを知りました。その話を聞いたとき、自身の命・健康が多くの人の支えによって成り立っていることを痛感したと共に、医療従事者の「いま在る命を救おう」とする “命に向き合う覚悟の強さ” に強く惹かれました。
この経験から私は、知識と技術はもちろん、臨床コミュニケーションスキルと強い使命感を備えた救急科医となり、多くの命を紡ぐことに尽力します。
(話すのにかかる時間:1分)
どうでしょう?少なくとも「志望動機が弱いなぁ…」とは思いませんよね。どうすれば、このような志望動機ができあがるんでしょう?
以下、4STEP画像付きで解説していきたいと思います。
4STEPで整う、医師志望理由のつくりかた
STEP.1 命・健康について考えた経験!
まず、私にはこういう命・健康について考えさせられた経験があるんです、というのをまとめましょう。 上の例であれば、熱中症で生き永らえた経験がそれにあたりますね。
ほかにも、自身が心臓病を患っていて手術してもらった経験、お産に立ち合い生命の誕生を見届けた経験、職場見学に行き手術シーンを見せてもらった経験など、数えればキリがないほど、命・健康について考えさせられた経験というのはレパートリーが多いと思われます。
もちろん、必ずしも劇的な経験でなくても構いません。合格者の中には、インフルエンザに罹患して医師である父に診てもらった経験とか、部活動をやっていて骨折して離脱した時期があった経験など、だれもが経験したことがありそうなものを事例として取り上げている人たちもいました。
STEP.2 お世話になった医師を浮かべる!
次に、お世話になったお医者さんみたいに私はなりたいんです、というのをまとめましょう。上の例であれば、いま在る命に向き合う使命感をもって、冗談混じりでコミュニケーションをとってくれた、あのお医者さんがそれにあたりますね。
そのため、理想の医師像(20年後・30年後の自分)を具体的なものとなるためには、上記のエピソードの中で、お医者さんが ”具体的に” どんなことをしてくれたのか丁寧に記述する必要があります。
「記憶があいまいで…」という方は、ぜひ両親などからそのときの様子を話してもらうと良いでしょう。自身が忘れていても周囲の人は覚えている、ということが多々ありますよ!
理想の医師像 の答え方について、詳細は以下の記事も読んでみてください!
STEP.3 理想の医師 → 何科/研究 の論理を築く!
次に、そんな理想の医師になるならば最も適している科はこれだ、といえるものをまとめましょう。 上の例であれば、使命感をもって多くの命を紡ぐことができるのは、まぁ救急医あるいは外科が一番近いでしょうか。
ここはあまり厳密な論理でなくてもかまいません。なんとなーく、論理がつながっていれば面接官へ十分良い心象を与えることができます。
「え、進みたい科とか決まってないんだけど?」「大学入ってから進路決めちゃだめなの?」とお考えの方、それらに関する回答を以下の記事でまとめてあります。ぜひ、こちらも合わせて参照くださいね。
STEP.4 理想の医師 → 〇〇大学 の論理を築く!
最後に、私が理想の医師を目指す上で貴学ではこんなことが学べます、という点をまとめましょう。
上の例ではまだ述べていませんよね。それはなぜかというと、面接では自分の話す時間を1分内におさめなければならないからです。それ以上一度に話しこむと、「あぁ、こいつ自分の話してばっかで、会話のキャッチボール成り立たないな」と面接官に悪印象を抱かれかねないのです。
逆に言えば、1分内でおさめれば医師志望理由、大学志望理由はフルに作りこんで良いということです。むしろ、1分をフルに活用して伝えられるくらい、強い志望動機へ仕上げるのが好ましいです。だからこそ、大学志望理由はまた別に用意する必要があるんですね。
率直に言って、「大学の志望理由なんてねーよ!偏差値で選んでるんよ、偏差値!」「医師になれればどこだってええわ!」と考えている受験生は多いです。そして、私もこれには同意します。(え
私自身、就職活動時代は20社ほどの企業を巡り、その度に「うちの会社を志望した理由はなに?」なんて質問されてましたが、毎回「(そんなもんねーよ! 給料欲しいだけだ、給料!)」なーんて、心の中で思っていました。
では、大学志望理由は具体的にどう作りこめば良いのか。引っ張るようですが、これ以上記事が長くなってしまうのを防ぐため、以下の別記事にまとめています。合わせてご参照ください。
一貫性を持たせるメリット
どうでしょう?1つのエピソードで3つの質問に答えており、完成度の高い志望動機となっていないでしょうか。実は、一貫性を持たせることで、大きく2つのメリットがあるんです。
一貫性のメリット①:話すのがヒジョーに楽!
1つのエピソードを話すだけで、3つの質問に答えていることになるため、自身も覚えることが少なく楽になります。また、1分間でまとめられるようになるため、面接官が「ちょっと何言ってるか分からない」となることが少なくなります。
一貫性のメリット②:使命感(やる気)が伝わる!
「志望動機系の質問がすべて一貫しているかどうか」をチェックしている面接官は ”ほぼいない” です。一方、”すべての” 面接官は「受験生の使命感(やる気)があるかどうか」を ”必ず” チェックしています。(だって、やる気のない人を医学部に入れても、留年したりサボったりしそうですもんね)
先ほどの志望理由を見た感想はどうでしょう?少なくとも「あ、この人、すぐ辞めそうだな」「やるきが感じられないな」とは思いませんでしたよね?
そうなんです、一貫されたブレない動機があると、面接官に「使命感があるなぁ…」との心象を抱かせることができるんです。
一番大切な “命・健康の尊さ” という視点
「医師じゃなくても良くない?」を防ぐために
受験生が最も怖れるのは、「それ、医師じゃなくても良くない?」という面接官からの返答ではないでしょうか。(ひぇっ…
ちなみに、この返答は面接官のいじわるではなく、本心で聞いていることが多いです。たしかに、考えてみればそうですよね…
社会に貢献したいので、医師を目指しました!
えーっと… 父が医師であったので、医師になりたいと思ったんです!
って言われても、「その希望、他の職業で叶えられるじゃん!」って思いません?
そう、医師志望理由で求められるのは「この職業(医師)じゃないとだめなんです!」といえるような、かなり詰められた論理なんです。では、どうすれば面接官に「あぁ、それだと医師になるしかないね…!」と思ってもらえるのでしょう?
それは、命・健康に対する一貫したエピソードを取り上げ、命・健康に対する熱い想いを明確に言葉とすることです。
社会貢献であれば、弁護士でも予備校講師でもコンビニバイトでもすることができます。しかし、”人々の命・健康を守る” という目的は、医師でないと達成しえないものです。
もちろん、「え、看護師でもいいじゃん」「え、救急隊員でもいいじゃん」と考える人もいるかもしれません。しかし、それはごく一部の人だけですし、「たしかにそうですね、でも医師が最前線に立って命・健康を守っているので、医師になりたいです!」の一言で反論が済みます。
そのため、「私にはこれだけ命・健康に対する熱い想いがあるんだ、だからそれを守れる仕事、医師になりたいんだ!」と持っていくのが、面接論的にはヒジョーに楽になるのです。
とはいえ、「命・健康に対する想い」というのは、かなーり抽象的なものであって言語化しにくいかと思われます。これについては、上記の医師志望理由の例文赤線部分を眺めたり、直接 おかまる まで相談いただけると嬉しいです(気軽に相談してください、お問い合わせフォーム・SNSからの質問おまちしてます!)。
「過去の経験(熱い想い)がない…」という方へ
志望動機の作り方を講義で伝えていると、生徒からこんな質問を多く受け付けます。
「命・健康の尊さを感じた経験」といっても、先生のようなドラマチックな人生を送っていなくて… これまで平坦な人生を送っていたぶん、たいそうな経験がないのですが…
うーん、たしかに。ドラマチックな人生を送っていないと、崇高な(?)志望動機はできあがらないですよねぇ…
先述のとおり、命・健康に対する経験というのは、軽い肺炎に罹患した~とか、肉離れで一時期部活ができなかった~といった具合に、たいそうな経験でなくともかまいません 。重症であることが大事なのではなく、その経験から命・健康についてどう感じたか、その想いを言葉にすることの方が大切なのです。
また、面接は本音を話す場ではなく、社交性ある自分をわかりやすく表現する場であって、ある程度の脚色、論理の整理は問題ありません。
例えば、先述の「医師志望理由の例文:おかまるの場合」にあった事例ですが、実際には看護師にお世話になった経験ですし、熱中症になったものの、命の尊さというよりも「入院食おいしいなー」という想いの方が強いです。(え
ただ注意したいのは、 面接で嘘をつく(0を1にする)のはNG で、話を膨らませる(1を10にする)のはOKということです。
「留学へ行ってない」→「留学へ行ったことにする」といった0を1にする行為は、面接中にボロが出て落とされるのがオチです。一方、「留学へ行ったけど何も学んでない」→「留学へ行きこんな素敵なことを学んだ!」といった1を10にする行為は、相手へ理解されやすい内容へと昇華しているので問題ありません。
ですので、あまり肩の力を入れすぎず、「イイカンジの志望動機つーくろー」くらいの感覚で一貫した動機を作成してみてはいかがでしょうか。
では、今日はここまで! お疲れさまでした!