【完全版】要約の書き方・読解力向上のポイントを歴10年の小論文講師が教えちゃう

小論文

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【結論】要約のやり方・読解力向上のポイント

▼要約が学べる定番の一冊▼

※この本に沿って、医系専門予備校で指導しています※

 

受験生
受験生

要約ってどうやればいいの…? やり方が曖昧すぎて苦手意識が強いです…。

 とお考えの受験生は多いのではないでしょうか。今回は医学部に限らず、推薦入試や他学部でも課される ”要約問題” の解き方、要約の方法・ルールを解説していきたいと思います。

 以下で解説する要約のやり方を学べば、医学部受験の小論文だけでなく、国語・現代文での読解力も向上し、英語の筆記テスト(要約)にも対処できるようになり、ひいては新聞小説を要約しまとめる際にも活かせる力が身につくため、今後の人生にも役立ってくると確信しています。

 それでは、楽しい楽しい(?)要約の世界へ行ってみましょう!

 

要約とは?

そもそも要約ってなに?

 要約とは、筆者の意見を真摯に受け取り、それを ”自身の言葉で” 簡潔にまとめることです。この ”自身の言葉で” というのがミソで、筆者の文章を丸パクリしてくるのはマナー違反なんですね。このブログをご覧の方の中には…

受験生
受験生

要約って、本文の大切な部分に線を引いた後、そのまま文を引っ張ってきて、つぎはぎに文をつなぐことだと思ってました…

 という方は多いのではないでしょうか。一応それも間違いではないですが、正確ではありません。”自身の言葉”でまとめないといけないのです。より正確に言えば、本文中のキーワード(重要な用語)を ”そのまま” 抽出し、それらのキーワードを ”自身の言葉で” 繋いでいくことが肝要なのです。

受験生
受験生

…?!??!

おかまる
おかまる

急に「自分の言葉でまとめろ!」なんて言われても困っちゃうよね!笑  大丈夫! 以下に要約とはなんたるか、どうやってやればいいのかキチンと説明していきますからね!

 

要約はどのように採点されているのか

 要約問題の解き方を学ぶ前に、まずは要約問題がどのように採点されているか確認しておきましょう。ここで、『医学部の小論文』(河合出版)のp.41を参照しましょうか。少しだけ拝借すると、以下のようなことが書かれています。

※詳しく見ず、ザっと眺めればOKです※

問1:解答例

★以下の①~⑤に相当する趣旨の記述があるか(各5点)

①医師のアートとは、医学知識と医療機器・データというサイエンスを統合して病人を癒すこと

②臨床医には、疾患や先端医療技術に関する新しい知識を身につける知性が必要。

③病人を思い遣る感性が必要。

④病人の話に耳を傾けて診察し、問題を抽出し、評価して、ひとつずつ解決する能力が必要。

⑤患者や家族、多くの職種と意思疎通をはかり、スムーズな事務処理をする能力が必要。

受験生
受験生

いやいや、問題と本文がどういったものか分からないんですが…

おかまる
おかまる

いまは、「採点のされ方」が分かれば良いだけなので、解答の箇所だけ抜粋して説明していきますよ!

 この問1は、「医療のcureとcareの在り方」について書かれた本文を200字程度で要約する問題だったのですが、そこは関係ありません。

 ★印の箇所を眺めてみると、「相当する趣旨の記述があるか(各5点)」と書かれていますよね。これはつまり、皆さんが要約してきた200字の文章を添削官が眺めて…

添削官
添削官

えぇと、このAくんって子は…

①の部分はOK、②の部分は✕、③の部分はOK、④の部分はOK、⑤の部分は✕…

全部で15点だな…

添削官
添削官

次に、このBくんって子は…

①の部分は✕、②の部分はOK、③の部分はOK、④の部分はOK、⑤の部分はOK…

全部で20点だな…

添削官
添削官

次に、このCくんって子は…

①の部分は✕、②の部分は✕、③の部分はOK、④の部分は✕、⑤の部分は✕…

全部で5点だな…

 といった具合に、大学側が用意した模範解答と照らし、相当する記述があるか否かを、いわば機械的にチェックしていくのが要約の採点方法なわけです。

check!

大学側が用意した模範解答と照らし、相当する記述があるか否かを、いわば機械的にチェックしていくのが要約の採点方法!(加点形式)

 

要約するときに大切なこと(心がまえ)

 先述のとおり、要約では大学側が用意した模範解答の要件にできるだけ近づけ、得点をかき集める必要があります。そのため、「端的に」文章をまとめ、「怪しい要素」を多く盛り込む姿勢が大切になるのです。

おかまる
おかまる

要約は字数制限が厳しいので、ダラダラと書いていてはNG!ムダな文章のない筋肉質答案を目指していきましょう!(脂肪たっぷりでは✕)

 

 さらに、要約問題では段落分けをせず「1段落で」まとめていく必要があります。

 そもそも段落とは、1つのイイタイコトの集まりを表します。”あなたの意見を述べなさい” 問題が出題されたときは、最初に「提起」の段落… 次に「分析」の段落… 最後に「解決」の段落…といった具合に、自身の主張を論理だてて組み立て、各段落の役割を分ける必要がありました。

 しかし、要約は ”要約” という1つのイイタイコトしか、1つの役割しかありません。だからこそ、段落分けはせず1段落構成、しかも最初の1マス目は埋めて書いてしまって良いんですね。

 

おかまる
おかまる

そのほか、読解のときに気をつけるポイントをサラリと学んでおきましょうか!

①重要な文に線( )を引くこと

 これはそこまで重要ではないのでササっと済ませます。本文を読んでいて「あ、重要だな」と感じたら線を引いておきましょう。線を引くタイミングは大きく2通りでしょう。

 1つは、各段落のキーセンテンスに線をするときです。各段落でイイタイコトは1つあるわけなので、各段落のキーセンテンスに1本ずつ線を引いておけば、あとからでも全体像を把握しやすくなります。

 もう1つは、内容合致問題で問われている箇所を見つけたときです。現代文などで、「下線部に合致するものを以下の①~⑤のうちから1つ選べ」みたいな問題ありますよね。設問を先に読んでおけば、本文を読んだとき「あ、この部分、内容合致問題であったぞぅ」と、あとから見返せるように印しておくことが可能になるわけです。

 

指示語に四角をしておくこと

 「あれ」「これ」「それ」といった指示語を見かけ、その指示語が何を指しているのか「?」な状態となったときは、必ず四角□でくくっておき、何を指しているのか明確にするよう心がけましょう。

おかまる
おかまる

本文ではバンバン判読しにくい指示語が使われますが、皆さんは判読しにくい指示語を用いて小論文を書いてはNGですよ!僕らが読んでいる現代文の文章を書いているのは学者さん、つまり研究のプロであって、分かりやすい文章を書いているプロではないのです!見習っては✕!

 

③接続詞に三角△をしておくこと

 以上の2つはそこまで重要ではないのですが、接続詞は非常に重要です。

 接続詞とは、文章と文章”接続”させる”詞”、つまり文章の論理関係を如実に表しているものであって、読解の上では非常に重要なヒントとなるのです。

 上図、左の文章をご覧ください。「私は甘いものが好きだ。」という文と「辛い食べ物は嫌いだ。」との文章が「一方、」という接続詞によってつながっていますよね。この「一方、」との接続詞は対立の関係で結びついており、文と文が反対であるという意味が込められています。

 次に、上図、右の文章をご覧ください。「私は甘いものが好きだ。」という文と「辛い食べ物も好きだ。」との文章が「また、」という接続詞によってつながっていますよね。この「また、」との接続詞は並列の関係で結びついており、2つの文が対等に並んでいるという意味が込められています。

 このように、接続詞は文と文を繋ぎ、論理関係を明確にする役割を担っているのですが、特にその力を発揮するのが難解な文章を読解する際なのです。現代文の問題を解いていて…

受験生
受験生

今回の文章、何を伝えたいのかサッパリ分からない… どうしよう…

ってなったこと、ありませんか?(私はよくあります) そんなときに、接続詞を意識し論理展開を追うよう心がけておけば…

おかまる
おかまる

「A つまり B」… Aの文章が言っている意味は分からないけど、Bで分かりやすく説明してくれているんだな…。

おかまる
おかまる

「A また B」… Aの文章は大切そうだけど、Bの文章はよく分からないなぁ…。でも、筆者は「また(=並列)」でつないでいるんだから、AもBも大切なことなんだろう…。

 といった具合に、ロジカルな推測・読解が可能になるわけです(すごいね、接続詞)。だからこそ、本文を読んでいる際は、接続詞に 三角△ をつけておいて論理展開を意識するように心がけましょう。

 以下に、代表的な接続詞の例を挙げておきますので、ザっと眺めておいてくださいね。

代表的な接続詞

①順接(ゆえにそのためしたがって 等)
 ※理由→結果 の関係

②説明(なぜならというのも 等)
 ※結果→理由 の関係

③例示(例えば具体的には 等)
 ※具体例を挙げて説明する

④添加(さらにそしてその上 等)
 ※前文の内容に付記する

⑤言い換え(すなわち要はつまり 等)
 ※換言してまとめる

⑥逆接(しかしところがだが 等)
 ※前文の内容で想定しない次文がくる

 

要約が得意になる最重要ポイント!

おかまる
おかまる

ここからが要約の最重要ポイントになります。以下の2点に注意すれば、要約は一撃です。

ポイント①:キーワードを追いかけよう!

 重要ポイントその①は、「キーワード」を追いかけることです。

 キーワードとは、筆者の重要視している、力を込めて伝えようとしている用語・単語のことを指します。キーワードは要約のエッセンスなので、必ず追いかけ、〇をつけておくようにしましょう。

受験生
受験生

え、先生。さきほど、筆者の重要視している文章はそのまま持ってきちゃダメっていってましたよね?

おかまる
おかまる

筆者の文章を丸パクリしてはダメなんですが、力を込めて伝えようとしているキーワードはそのまま引っ張ってくる必要があるのです!

 ちょっと丁寧めに解説していきましょうか。

 たとえば、皆さんが「自己PRをしてください。」「あなたの強みを教えてください。」と聞かれたらどう返答しますかね?

受験生
受験生

学生時代は、ソフトボール部に所属し毎日厳しいトレーニングを重ねてきました! そのため、私の強みは「忍耐力」があるところだと自負しています!

 こんな感じでアピールするでしょうかね。このとき、面接官から…

面接官
面接官

えーっと… なるほど… つまり「継続する力」があるんだね…?

 などと、「忍耐力」と「継続する力」を入れ替えてお話されれば…

受験生
受験生

いえいえ、私の強みは「忍耐力」なんです! 苦難にぶち当たっても乗り越えるだけの精神力があるんです!(怒

 という風に反論したくなるでしょう(本番ではやっちゃだめだよ?!笑)。

 それはなぜかというと、この受験生は「忍耐力」という言葉に強い意味を込めているからこそ、テキトーな言葉に言い換えてほしくないからなんです。たしかに、「忍耐力」と「継続する力」はビミョーに違いますよね。

 

 一方で…

面接官
面接官

なるほど… つまり部活動に力を入れてきたんだね?

 といった具合に、「ソフトボール部」という言葉と「部活動」という言葉を、入れ替えてお話されたときであっても…

受験生
受験生

はい、そうです!

 と、何も気にすることなく話をサラリと進めてしまうでしょう。

 それもそのはず、この受験生は「ソフトボール部」という言葉に強い意味を込めていないからこそ、別の言葉に言い換えられても問題ないからなんです。たしかに、「ソフトボール部」の活動を「部活動」と表されても、なーんも問題生じなさそうですもの。

 このように、人によって力を込めている単語・用語(キーワード)はあるわけで、これらの文言は化決して言い換えてはいけないのです。

 

 このことは、文章を書いた著者であっても同じことが言えるはずです。筆者だって…

添削官
添削官

世の中の事物は二元論的である。二元論とは事物を二つの項に分ける考え方のことであるが、その背景には優劣関係を… そのため、二元論的な思考は現代では…

 と文章(本文)を書いているときに、

添削官
添削官

うふふ♡ 二元論って言葉、正しく伝わるといーなっ☆

 といった具合に、二元論という言葉に強い意味を込めて文章を書いているでしょう。だからこそ、筆者が力を込めて伝えようとしているキーワードについては、何も言い換えをせず、そのまま抽出することが大切になってくるのです。

check!

筆者が力を込めて伝えているキーワードは、言い換えをせず、そのまま抽出すること!

 

受験生
受験生

結局、キーワードを抽出することはなんで大切なんですか?

おかまる
おかまる

要約とは、本文からそのまま抽出してきたキーワードを、自身の言葉でつなぐ営みなんです。つまり、キーワードが要約のエッセンスとなるから大切なんですね。

 要約をする際には、まず本文を丁寧に読み、キーワードに〇をつけておきましょう。これらのキーワードをそのまま(言葉を変えず)抽出します。

 そして、それらのキーワードを自身の言葉でつないでいきましょう。

 これで要約は完成するわけです。

check!

要約とは、本文からそのまま抽出してきたキーワードを、自身の言葉でつなぐ営み!

 

受験生
受験生

キーワードが大切なのはわかりました。でも、筆者が力を込めて伝えようとしているキーワードはどうやって見つければいいんですか?本文読んでると、どれも大切そうな気がしてきて…

おかまる
おかまる

以下3点、どれかに該当した用語・単語が出てきた際には、「筆者が力を込めて伝えようとしているキーワードかな?」と疑ってみてください!

 

反復されている言葉

 反復されている言葉は、キーワードである可能性が高いです。

 本文を読んでみたとき、とある言葉が複数回登場しているのを想像してみてください。何度も繰り返し登場してくるということは、それだけ筆者が重要視して伝えようとしていることと考えるのが自然でしょう。

おかまる
おかまる

上図では「サイエンス」との言葉が繰り返し登場していますよね。これだけしつこく(?!)登場するんですから、そりゃもう重要なんでしょうね。

 

強調されている言葉

 強調されている言葉は、キーワードである可能性が高いです。

 本文を読んでみたとき、とある言葉が ” ”「 」といった強調表現で表されているのであれば、それはもう筆者も力を入れていると考えて良いでしょう。

 また、括弧等に限らず、ナンバリング(1つ目は~ 2つ目は~)や太字英語表記など、形はどうであれ、何か強調的な表現がなされていれば「キーワードでは?」と疑ってかかって問題ありません。

おかまる
おかまる

上図では「知性」「感性」との「 」での強調表現、1つ目は~2つ目は~とのナンバリングでの強調表現などが見られていますよね。どうであれ、強調表現はキーワードであると疑ってかかってほしいものです。

抽象度の高い言葉

 抽象度の高い言葉は、キーワードである可能性が高いです。

 みなさんは、抽象的という言葉の正しい意味をご存じでしょうか。例を挙げながら説明していきましょう。

おかまる
おかまる

「抽象的」と「曖昧」という言葉を同じ意味として用いている人は多いですが、実際のところ「抽象的」=「曖昧」ではありませんよ? 大丈夫ですか?

 例えば、皆さんの好きな ”動物” ってなんですかね? …うん、人によっては ”イヌ” が好きな人もいるでしょう。”ネコ” が好きだという人もいるかもしれませんね。 生徒の中には ”サル” が好きだという人もいました。(皆さんは何がお好きですかねぇ)

 これら、イヌ・ネコ・サルを下位に並べたとき、上位の四角枠( □ )に来る言葉は一体何になるでしょうかね。…そう、”動物” とか ”生物” といった言葉が入りますよね!

 抽象とは出した対のこと…。ゴマをギューッと絞ってゴマ油を作るように、イヌ・ネコ・サルとの言葉をギューッと潰してみると、動物という概念が抽出されますよね。

 このとき、下位概念にあたるイヌ・ネコ・サルのことを具体と呼び、上位概念にあたる動物のことを抽象と呼びます。

 このとき、動物という抽象的な概念って「あいまい」な言葉だなぁ…って感じますか?…感じませんよね! そう、”抽象度が高い” とは、上位概念のようなお話…つまり、精錬されすぎていてムズカシイ!ってことなんです。

 例えば、宗教的・哲学的な話ってどうでしょう? 抽象的で理解しがたいですよね。また、数学の公式もどうでしょう? これも記号がきれいに整理されすぎていて、なかなか簡単には理解できないものですよね(でも、あいまい…とは言えない)。これが抽象と具体の違いなんです。

 そして、この抽象度の高い言葉は要約とヒジョーに相性が良いことが分かります。

 前述のとおり、要約とは筆者の意見を真摯に受け取り、それを自身の言葉で “簡潔に” まとめることのを指すんでしたね。限られた字数制限の中で “簡潔に” まとめるためには、ダラダラと長い文章を書いたり、細かくてどうでもよい具体例を盛り込むわけにはいきませんよね。

おかまる
おかまる

「要約では具体例を盛り込むな!」と教わった人は多いのではないでしょうか? そう、これがその理由なんですね。

 具体的な例とは逆に、抽象度の高い言葉はあらゆる言葉を凝縮したエッセンスのようなものになっています。そのため、短い言葉でいろんな意味を包含しており、 “簡潔に” まとめたい要約とは相性がよくなるわけなのです。

 

 だから、本文を読む時には抽象度の高い言葉をキーワードとして拾ってもらいたいんですよね。

おかまる
おかまる

上図では二元論機械論的自然観死の受容など… 抽象度の高い言葉にがついていますよね。抽象度の高い言葉は、たくさんの意味を包含するので要約と相性が良いのです。

check!

反復・強調・抽象 → これらに該当する言葉を本文で見つけたときは、キーワードを疑え!

 

ポイント②:イイタイコトを追いかけよう!

 重要ポイントその②は、筆者の「イイタイコト」を追いかけることです。

 小論文の文章にせよ、英文にせよ、現代文・新聞・本にせよ… 文章であればどれであっても、イイタイコト(筆者の主張)」「根拠」「テーマの3つが明確に意識した上で記述がなされています。

 ある文章では、戦争の在り方をテーマにし、もっとも尊くあるべき人命を奪っているとの根拠で、戦争は良くないことだ!とイイタイコト(筆者の主張)を述べるかもしれません。

 またある文章では、現代医療の在り方をテーマにし、進歩した科学技術と引き換えに患者に寄り添う気持ちを失っているとの根拠で、今後医師はcareを大切にすべきだ!とイイタイコト(筆者の主張)を述べるかもしれませんよね。

check!

「テーマ」「根拠」「イイタイコト」を意識しながら文章を読む習慣をつけよう!

 

 特に、要約を行う上ではイイタイコト(筆者の主張)」が追いかけていくことが重要になります。

 先述のとおりですが、要約は加点形式で採点がなされます。そのため、本文を読んだ上で「何を要約に盛り込んでほしいのか」「何が正解であるのか」は、採点官のみぞ知るセカイなわけです。

おかまる
おかまる

だから ”怪しい要素” を優先順位付けした上で ”端的に” 盛り込み、できるだけ正解と思えるような事項を詰め込んでいきたいんですよね。

 そこで注意したいのが、イイタイコト(筆者の主張)」は要約に盛り込むべき優先事項1位(!)であるということです。シンプルに「本文を200字で要約しなさい」等と問われたときには、イイタイコト(筆者の主張)」は必ず盛り込まなくてはいけないんですね。

check!

「イイタイコト(筆者の主張)」は、要約で盛り込むべき最優先事項!

 

受験生
受験生

「イイタイコト」をつかむのが大切なのはわかりました。でも、どうやったらその「イイタイコト」を見つけることができますか?何かヒントを…

 うーん、そうですよね。「筆者のイイタイコトを見つけろ!」なんて言われても、どこをどう読んでいけば良いのかよく分かりませんよね。

 結論を述べれば、「イイタイコト」を見つけるには、対立同値の関係をつかんでいくことが大切になります。つまり、本文を読んでいて「この2項は真逆の関係だな(対立)」「この2項はだいたい同じこと言っているな(同値)」というのをつかんでほしいのです。

 

 具体的な文章を見ながら学んでいきましょうか。以下を一読ください。

 は良い。川は昔から ”共有” の考えが根付いていた。洪水が起きたときは皆で治水活動をして氾濫を防ぎ、水量が足りないときは皆で節水活動をして乗りきってきた。だからこそ、現代であっても川はきれいに保たれているのだ。

 一方、はどうであろうか。山は昔から ”私有” の考えが根付いていた。「自分の山だから」といって切り開いて生態系を破壊してきたり、管理をしっかりと行わず野山を生み出してきたのだ。

 これからの社会には ”共有” するという意識が、自然環境的にも経済的にも大切な概念となってくる。皆で1つのものを ”共有” している意識があれば、物を大切に扱うことになるだろうし、費用も安く抑えることができる。一例ではあるが、シェアカー・シェアハウス・シェアスペース等は、これからの社会に求められるビジネススタイルの先駆けと言えるだろう。

 上記の文章では、「はきれいに保たれてきた。一方、はきれいに保たれていない。」という関係が見受けられませんか。このとき、では真逆のことを述べている関係(対立)にあたります。

 

 さらに、「は昔から ”共有” の考えが根付いていた。」「は昔から ”私有” の考えが根付いていた。」といった記述がありますね。このことから、”共有””私有”という関係、つまりだいたい同じことを言っている関係(同値)であることがわかるでしょう。

 

ちなみに、上記の文章では ”共有””私有” の言葉も対立の関係にあります。

おかまる
おかまる

文章を読むときは、この対立同値を丁寧に追うよう心がけてください。難解で何を言ってるのか分からない文章であるときほど、この2点は重要なヒントとなってきます。

 

 ここまでで、対立同値を追いかけていくことが大切なのは伝わったかと思われます。そして中でも、対立の関係を見つけたときには筆者の「イイタイコト」を探すための大ヒントである、と考えましょう。

受験生
受験生

対立が筆者の「イイタイコト」を見つけるヒント…?

おかまる
おかまる

そうです!なぜなら、対立関係を見つけたときは、筆者の「イイタイコト」なんて2パターンしかないからなんです!

 

対立→「イイタイコト」のパターン①

 まずは、筆者の支持度合いに差がある対立のパターンです。先ほどの例がこれにあたります。

 先ほどの文章では、「川はきれいに保たれてきた」という文と「山はきれいに保たれていない」という文が、「一方」という対立を表す接続詞によってつながれていました。

 しかし、筆者は「川はきれいに保たれてきた」ことを良い例として挙げているのに対し、「山はきれいに保たれていない」ことを悪い例として引き合いに出しています(かませ犬みたいになってますね)。

 このように、筆者の支持度合いに差がある対立のパターンにおいては、対立の前者側に寄り添った「イイタイコト」を用意していることが多くなります。

おかまる
おかまる

「Aの例は良いよね! 一方、Bの例は悪いよね…。 だからAを支持します!」って感じだね! 

 

対立→「イイタイコト」のパターン②

 まずは、筆者の支持度合いに差がない対立のパターンです。「Aさんの意見はこういう点で良い。一方、Bさんの意見はこういう点で良い。」みたいな対立ですね。

 この場合、筆者は両方を良い例として引き合いに出しているわけであって、両者の支持度合いに差は生じていません。この場合、筆者はその先の段落で新しい主張(提案)をし、そこにイイタイコトを示していることが多いのです。

おかまる
おかまる

「Aの例は良いよね! 一方、Bの例も良いよね! じゃあ、合わせてCしようよ!」って感じだね!※このC部分が筆者のイイタイコト

 

 さらに、筆者の支持度合いに差がない対立であれば、その高低は関係がありません

 下記のような「Aさんの意見はこういう点で悪い。一方、Bさんの意見はこういう点で悪い。」みたいな対立を考えてみましょうか。

 この場合、筆者は両方を悪い例として引き合いに出しているわけであって、両者の支持度合いに差は生じていません。この場合、筆者はその先の段落で新しい主張(提案)をし、そこにイイタイコトを示していることが多いのです。

おかまる
おかまる

「Aの例はダメだよね…。 一方、Bの例もダメ…。 じゃあ、私が新たに良い提案をしてあげる!Cするのはどうかな!」って感じだね!※このC部分が筆者のイイタイコト

check!

対立関係を見つけたとき、筆者のイイタイコトは2パターンしかない!

常識に反する主張 ≒ 筆者のイイタイコト

 最後に「イイタイコト」を見つける、ちょっとしたテクニックを伝授して要約の概論を終わりにしたいと思います。常識に反する文章を見かけたら、筆者のイイタイコトを疑い要約に盛り込むようにしましょう。その理由は2点あります。

 

理由①:現代文 = 近代以前に対する反省がテーマであるから

 私たちが勉強しているのは、国語あるいは小論文ですよね。これらの問題で取り扱っているのは ”現代文” なわけですが、この ”現代”という時代に注目する必要があります。

 現代文で取り扱っているテーマは、自然環境・人種差別・医療問題等の現代問題なわけですが、これら近代以前から問題視されてきたことについて、真正面から切り込んでいくものが多いです。

 筆者は文章を通じ、読者へ近代以前に対する反省を促し…

著者
著者

お前ら、目ぇ覚ませよ!!!

 と伝えているんですね(ひぃぃ!)。

 

理由②:現代文を書いている人が著名人・学者であるから

 現代文を書いている人は、そのほとんどが著名人か学者さんです。これらの人たちの職業・立場を理解しておく必要があるのですが、著名人・学者さんってどんな職業なんでしょうか。

 著名人と言えば、スポーツ・政界等において人よりも秀でた功績をおさめ、一般人へと啓発する立場にありますよね。一般の人とは違う考え・行動をしたから成功をおさめたわけであって、自身の持つ信念・主張には、やはり普通の人と一線を画すものがあると考えるのが自然でしょう。

 また、学者さんは地球上で未解明であった事象について新たな発見をし、人類を進展させることにその職業価値があります。だからこそ、これまで解明されている、常識的なことを主張し続けているようではご飯を食べていくことができないわけです。

 以上の理由から、常識に反する文章は筆者のイイタイコトである可能性が高い、という結論が導けるのです。肝に銘じておきましょう。

check!

常識に反する文章を見かけたら、筆者のイイタイコトを疑い要約に盛り込むこと!

 

要約の練習問題(あとは練習あるのみ!)

 以上、要約のポイントを凝縮してお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。ちょっと長文と化してしまいましたが、医系専門予備校で3時間かけて説明する内容だったので、かなり濃密で力になる内容となっていると自負しています(えっへん)。

 要約のエッセンスを学んだら、あとは反復して問題にぶつかることが大切になります。以下の記事でも、実際の入試問題にぶつかりながら上記要約のエッセンスを解説しています。ここまで読んでくださった方にとって実践形式で学べる深い内容となっていますので、ぜひご一読ください。

 

おかまる
おかまる

今回学んだことを意識しつつ、下記の問題にトライしてみてください!解説は以下の記事で掲載してあります!

演習編の記事はコチラの問題を使用して解説します。印刷の上、記事を読むことを推奨します。
“要約問題” をダウンロード 59f0f3b263ce6e940e24e2ff8eca2b80.pdf – 1409 回のダウンロード – 346.71 KB

 

 では、今日はここまで! お疲れさまでした!

▼今回の記事はこの本に沿って解説しています▼

おかまる

おかまる受験コンサルティング株式会社 代表|34歳|医学部受験予備校 面接・小論文講師|茨城県出身|小論文検定1級|1級FP技能士|偏差値38→72(慶應・筑波合格)▶慶應義塾大学SFC▶最大手生命保険会社▶予備校で3年連続関東圏No.1評価|大学で研究した 脳科学に基づく“わかりやすい話し方、文書・資料の作り方”を売りにし、講師歴や実績を10年以上重ねる。講義のモットーは「楽しく、わかりやすく!」。趣味は4歳の娘とポケモンごっこすることと、0歳の娘を理不尽なまでに撫でくりまわすこと。

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