【結論】行きたい診療科/研究医の志望理由
この記事を見ることで、以下のような「行きたい診療科/研究医 志望理由 」の作り方がわかります。
診療科/研究医志望理由 の例文:合格者の場合
医師志望理由
私が小学4年生のとき、心室中隔欠損症で入院・手術を経験しました。両親が多忙な時期であったため病院に来てくれることが少なく、さらにはじめての手術であったため、私は大きな不安を抱えていました。
しかし、私を担当してくれた外科の先生は「よくある病気だから大丈夫だよ」といった優しい声かけをしてくれたり、時間があるときには病室を訪れ、当時興味のあった人体に関する話を分かりやすく話してくれたりと、親身になった対応をしてくださいました。そのおかげで、私は前向きに手術を受けることができ、日常生活を取り戻しました。
この経験から私は、命・健康が当たり前のものではなく尊いものであると学び、それを支えることのできる ”医師” という職業に強い憧れを抱くようになりました。
理想の医師像
将来は高い医療技術だけでなく、観察・傾聴・共感に基づく臨床コミュニケーションスキルを駆使して、患者さんに寄り添うことのできる医師を目指します。
この理想の医師像 ↓ となるにあたり…
結論:心臓外科医を志望します。
理由:自身が心臓病を患った経験もありますが、外科、特に心臓外科というのは患者の中でも強い不安を抱える人が多くいる科だと考えます。将来、コミュニケーションを通じ患者に寄り添った医療を提供したい私にとって、最適な科だと考えたためです。
保険:ただ、まだ知識や経験に乏しいので、貴学に入学し様々な経験を積んでから、自身の適性を見極めていきたいという思いもあります。
おさらい:志望動機で一番大切なこと
志望動機で一番大切なことは、一貫性を持たせることでした。上図のように、「なぜ、医師になりたいのか」「なぜ、〇〇大学なのか」「将来、何科(研究)を志望しているのか」「理想の医師像は」との質問は、1つのエピソードで答えを一貫させるのが良いのでしたね。
なぜ一貫性を持たせるのが良いのか、どのようにして一貫性を持たせるのか、詳しくは別記事で丁寧に記述してありますので、そちらをご参照くださいね。
今日は「行きたい診療科/研究医 志望理由」の作り方にポイントを絞ってお話していきます。
3STEPでOK! 診療科/研究医 志望理由の作り方!
STEP.1 結論:何科/研究 が適しているか
まずは結論から考えていきます。つまり、どの仕事(診療科・研究医)が適しているかです。
「医師志望理由」を考える際、命・健康について考えさせられたエピソードを取り出しましたよね?そのエピソードの中で、お世話になった医師を「理想の医師像」として設定したかと思われます。この際、エピソードと密接にかかわってくる仕事や、理想の医師像と密接に関わりのある仕事を、希望の科/研究 とするのが良いでしょう。
STEP.2 理由:理想の医師に結びつくか
次に理由を考えていきます。つまり、理想の医師に結びつくかどうかです。
例えば、重度の熱中症になった際、救急医に救われ、命に向き合う覚悟の強さに触れた経験のある私であれば、将来は「強い使命感を備えた医師となり、多くの命を紡ぐことに尽力」したいと考えるでしょう。
そして、「多くの命を紡ぎたい」私にとって何科が一番適しているか、を考えてみると… そう、救急か外科といった診療科が最も命に直結しており、理想の医師像、つまりは自身の目指す方向性に適していることになりますよね。このようなロジックで診療科/研究 を選定してあげると、面接官に好印象を与えられるでしょう。
STEP.3 保険:面接官に好印象な回答をする
診療科/研究医 の志望理由を面接官が聴いたとき、面接官は2パターンの受け取り方があります。
君ねぇ、将来はやってみたい仕事(科・研究)はないの? ダメだよ、将来のことは明確に考えておかないと…!
1人は、①診療科といった詳細な仕事を明確に決めておくべきだと考える人。
君ねぇ、将来やってみたい仕事(科・研究)は、いま決めるべきじゃないの。まだ医学のこと全然知らないでしょ?大学で様々な勉強してから決めなさい。
そしてもう1人は、②診療科といった詳細な仕事を明確に決めておくべきでないだと考える人です。
…そうです、真逆な受け取り方をしてきますよね! この相容れない2人、どちらが当日面接官となっても良いよう、対策を練っていく必要があります。そこで、保険をかけるわけです。
つまり、何科/研究医 になりたいかを明確に述べた後、「ただ、まだ知識や経験に乏しいので、貴学に入学し様々な経験を積んでから、自身の適性を見極めていきたいという思いもあります。」と謙虚な姿勢をアピールし、保険をかけておくわけです。
STEP.1~STEP.3まで見てきた、結論→理由→保険を順に話していけば、「診療科/研究医 の志望理由はなんですか?」と問われたときの回答になります。1つずつ丁寧に整理していきましょう。
診療科/研究医志望理由 の例文:おかまるの場合
医師志望理由
小学6年生のとき、私は重度の熱中症で倒れ、近くの総合病院へと搬送されました。意識が朦朧とし、手足がけいれんするほどの辛い経験であったため、私は死んでしまうのではないかと不安を抱えていました。しかし、そこで担当してくださった救急医の先生が、冗談交じりでコミュニケーションを取ってくれただけでなく、三日三晩懸命に看病をしてくれたため、私は生き永らえることができました。
後日、「私が入院した当日に、その担当医は自分の息子さんを亡くしていた」という話を聴き、人手が不足していた病院に駆けつけてくれたことを知りました。その話を聞いたとき、自身の命・健康が多くの人の支えによって成り立っていることを痛感したと共に、医療従事者の「いま在る命を救おう」とする “命に向き合う覚悟の強さ” に強く惹かれました。
理想の医師像
この経験から私は、知識と技術はもちろん、臨床コミュニケーションスキルと強い使命感を備えた医師となり、多くの命を紡ぐことに尽力します。
この理想の医師像 ↓ となるにあたり…
結論:救急医を志望します。
理由:将来、多くの命を紡ぎたいと考えている私にとって、救急科あるいは外科が命に直結し適していると考えたからです。
保険:ただ、まだ知識や経験に乏しいので、貴学に入学し様々な経験を積んでから、自身の適性を見極めていきたいという思いもあります。
「ホンネ」と「タテマエ」どちらを優先すべき?
よくある質問
志望動機の作り方を講義で伝えていると、生徒からこんな質問を多く受け付けます。
私、本当は精神科医になりたいんですが、自身の救急車で運ばれた経験になぞると救急医になってしまいます。自身の「ホンネ」と「タテマエ」、どちらを優先すべきでしょうか?
うーん、たしかに。「ホンネ」で答えるべきか「タテマエ」で答えるべきか、面接を勉強した人ならだれもがぶつかる微妙な問題ですよね。
この質問に対し、私(おかまる)は…
「タテマエ」で答えましょう!
と、お答えしています。「なんか非情だな…」と思った方、いまからその理由をお話していきますので、少ーしお付き合いください。
面接は「ホンネ」でなく「タテマエ」で答えるべき理由は3点あります。
1つ目は、受験生を深く知ってもらうには、面接の所要時間が短すぎるためです。
医学部の面接時間は、短い大学で5分前後、長い大学でも30分程度となっています。そのため、自身の抱えている想いや強み、人生哲学を正確に理解してもらうには断然時間が短いのです。だからこそ、面接官に容易に理解してもらえるよう、自身の動機・アピールポイント等を分かりやすくまとめていかねばならないのです。
2つ目は、面接という科目が得点化・合否判定の基準と化されている以上、ある程度の ”正解” が存在するためです。
仮に ”正解” が存在しなければ、得点化はおろか、合否判定や参考資料として面接結果を用いることはできません。「とにかく、ありのままの自分をぶつけろ!」と指導する面接講師もおりますが、私個人としては、面接には一定の求められている回答があって、面接官に好まれやすい回答(≒タテマエ)を心がけるべきだと考えるのです。
3つ目は、面接で話したこと=約束(契約)、ではないためです。
面接時に「救急医になりたい!」と言っても、それは将来を拘束するものではありません。したがって、入学後どのような人生を選択していくかは自由なのです。私自身も、企業面接の際には「営業をやりたいです!」と熱く語り、入社後に人事部へ「法務・コンプライアンス部志望です」と意向を書いたものです。(え
以上より、面接時は「ホンネ」ではなく「タテマエ」で話を進めていくことを推奨します。
無難な診療科(無難な回答)とは?
と、講義でお話していると、生徒からさらに質問を受けます。
面接受けする回答を目指すべきなのはわかりました。では、外科、精神科、研究医…どういった仕事が面接受けするのでしょうか?
医師という職業は多岐に渡り、ざっとあげるだけでも臨床医・研究医・産業医・防衛医科勤務・厚生労働省勤務・ベンチャー企業の経営者などが挙げられます。
そのなかでも、臨床医は外科・内科・皮膚科・心療内科・精神科・小児科・眼科・整形外科・総合診療医など、実に多くの診療科に大別することができます。
正直言って、これまでの志望動機が一貫していれば、どれを選択しても良いかと思われますが、強いて言えば臨床医が良いでしょう。特に、外科・救急といった血を見る診療科、内科・小児科(産婦人科)・総合診療科といった地域を支える診療科は心象が良いのかと推測されます。
近年は、外科や地域医療に従事しようとしている人が少ない傾向にあります。これらの科は重宝されるでしょうね。
逆に、不足感の強くない診療科や血を見ない診療科は、面接官によって良い印象を抱かないことも考えられます。つまり、眼科・皮膚科・精神科などは避けても良いでしょう。近年は、血を見るのを嫌がる受験生が散見され、面接官も嫌気をさしていることがあるそうです。皆さんはどうでしょうか?入学後、頑張ってくださいね。
では、今日はここまで! お疲れさまでした!