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小論文
傾向と対策
過去問の模範解答集
2021年度 1日目(<悲>の思想)
問1
現代が求める<非>(9字)
★以下に相当する趣旨の記述があるかチェック
①<非>という最重要キーワードが含まれている
②<非>が大切である旨、筆者のイイタイコトがニュアンスで含まれている
③タイトルとして違和感がない読み心地である(日本語のリズムが良い)
問2
人を励ますのは、まだ立ち上がれる余力と気力があるときに、その人へ指摘や強い言葉を通じ奮起してもらえるやり方で対峙するが、一方で、人を慰めるのは、孤立した悲しみや苦痛を感じ立ち上がることができないときに、その人の問題点を含めた全てを受け入れ、肯定するやり方で対峙する。慰めが人の心を救うのは、自身の苦しみや苦痛を強く共感してくれる他者がいることで、「自分は1人ではない」という安堵感を与えてくれるからだ。(200字)
★以下に相当する趣旨の記述があるかチェック
※本文に記述がない点は、自然かつ合理的に推測しなければならない
①励まし:立ち上がれる余力と気力があるときに行う
② :(指摘・強い言葉を通じ)奮起してもらえるよう対峙する
③慰め:孤立した悲しみや苦痛を感じ立ち上がることができないときに行う
④ :その人の全てを受け入れ肯定するよう対峙する
⑤苦しみや苦痛を共感してくれる他者がいるからこそ、慰めが人の心を救う
問3
本文のとおりであるが、医療現場において患者に対する「励まし」は、まだ立ち上がれる余力と気力があるときに用いられるべきだと考える。具体的には、靭帯・骨の手術を終え、再度歩けるようリハビリに努めている患者が好例であろう。患者はときに「元通り歩けるようになるのかな…」「こんなリハビリ、やる意味があるのかな…」と不安に駆られることがあるかもしれない。しかし、スポーツやデート、レジャーといった日常的な喜びを再度送れるよう、医師は積極的・肯定的な声かけを行い、患者本人が奮起できるよう尽力すべきではないだろうか。
一方、こちらも本文どおり、医療現場において患者に対する「慰め」は、孤立した悲しみや苦痛を感じているときに用いられるべきだと考える。具体的には、治療不可能な難病に罹患した患者や、余命宣告され悲しみに明け暮れている患者などが該当する。これらの患者は、暗い闇の奥底に落ちてしまい、「もうあの頃には戻れない」といった不可逆的な辛さを感じている可能性がある。そのような患者に対しては、具体的なアドバイスや励ましを行うのではなく、傾聴・共感といった受動的な姿勢を積極的にとっていくべきではないだろうか。この姿勢を通じ、「あなたは1人ではありませんよ。」と優しく包み込む、一種の奉仕の精神が肝要となる。
とはいえ、患者それぞれの抱える想いは画一でなく、1人1人異なっているものだ。そのため、「骨折だから励まそう」とか「余命宣告だから慰めよう」と機械的に判断するのではなく、患者1人1人に目を向け、個々人にあった対応を心掛けるべきであろう。そして、患者個々人を理解するためには、本人の価値観・死生観といった情報を引き出す必要があり、患者と医師のあいだにおける信頼関係が重要となる。だからこそ、医師は日ごろから、臨床コミュニケーション等を通じ、患者と共に歩む姿勢を大切にすべきなのだろう。
(800字)
2021年度 2日目(認知症)
問1
認知症患者との壁を作らない接し方(16字)
問2
認知症は、過去の自分と「連続している」こと、症状が「固定されたものではない」ことを理解し、罹患した人を「あちら側の人間」と一括りにしてはいけないということ。(78字)
問3
認知機能の低下した患者に対する医療で、私が重要だと考えることは、病気を診るだけでなく患者さん自身の人生に目を向けたり、話すことに耳を傾けたりすることだ。認知症は、認知症となった人であれば誰にでも起こる中核症状と、人によってその現れ方が異なってくる周辺症状に大別される。前者については、症例データ等から科学的に説明するほかないが、後者については、その患者自身の歩んできた人生に目を向け対応を変えていく価値がある。また、本文でも述べられているように、認知症といってもいろいろで、一度なってしまったから終わり、「あちら側の人間」となった、と扱うのは妥当ではない。肝心なのは、病気自体ではなく患者本人に目を向け、変わらぬ1人の人間として尊重し診察・治療することであろう。
以上を踏まえ、医師としての具体的な対応について以下に述べていきたい。まず、連れ添いの人がいたとしても、その連れ添いの人だけでなく、認知症を患う患者自身にも目を向け説明していきたい。本文にもあるとおり、認知症患者である本人を抜きにして物事が決定されていくと、患者自身も強い悲しみに苛まれるであろう。そのため、認知症患者を1人の人間として真摯に扱い、丁寧な説明を心掛けていくべきだ。また、患者自身の話すことに対しても、真摯に耳を傾けていきたい。認知症患者は過去の自分や通常時の自分と連続性があり、「こうしたい」「こう生きたい」といった思いを抱えているかもしれない。そのため、「認知症になったから終わりだ。話を聴く価値がない」といった軽率な姿勢ではなく、その人自身がどうありたいか、どのようなサポートを望むか等を傾聴していきたい。
日本の高齢化率は29.1 %を超え、それに伴い2025年には認知症患者数が700万人を超えると推計されている。およそ他人事とは言えないこの病について理解と対応が進み、誰もが生きやすい世の中になることが望ましい。
(800字)