【東京慈恵会医科大学】面接・小論文の傾向と対策+志望理由例+過去問の模範解答集【対策はこれだけ!】

小論文

文量の多さとリサーチマインドが鍵

東京慈恵会医科大学

60~90分(120分)/1200~1800(2400)字以内

語るテーマの設定から入る

ダレないようナンバリング

9

総合難易度

9

時間・文章量

5

問われる知識

7

読解の難易度

面接

傾向と対策
大学の特徴
合格者の志望理由例

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小論文

傾向と対策
過去問の模範解答集
2019年度(遊びが学びに欠かせない)

問1

『義務教育における自発的な学習法の提言』

本文では、様々な遊びを例に挙げつつ、異年齢同士で遊ぶことを通じて、自発的に学習することの大切さを唱えている。このとき、異年齢の年少側だけに学ぶメリットがあるのではなく、「年少者と共にゲームに取り組み楽しめる」「様々な年少者と相対することで適応しようとする能力が身につく」といったメリットが年長者側にも挙げられる。本文を踏まえ社会を振り返ると、年長者から年少者への教育を通じ自然と双方が学んでいる、ということはたしかに多い。例えば、家庭において文字の書き方などを学んだり、学校において下級生が上級生と遊びつつルールを学んだりと、例はいくらでも挙がるであろう。

 今年度は、共通テストをはじめとし、文部科学省の掲げる大学入試制度改革が本格化した。この大学入試制度改革には、「先行き不透明な未来を生き抜くため、主体的に行動し、多様な人々と協働する力を重視する」といった趣旨が根底にある。この趣旨には私も賛成で、島国かつ資源もない日本がこれから熾烈化するグローバル競争に打ち勝つためには、優秀な人材を育むことが肝要となる。その際、大きな力を発揮する“主体性”“多様性”“協働性”は必要不可欠な資質と言えるであろう。そこで本件では、小学校から中学校へと続く義務教育の現場において、どのような学習法をとれば自発的な学習を促すことができるのか、について検討していきたい。

問2

 従来型の学校教育では、先生が生徒に対して一方向的な情報提供を進めている。私自身、この授業形態にはメリットが多く存在し、決して悪いものではないと考えているが、それでも従来型教育手法には3つの問題点がある。

 1つ目は、学ぶ楽しみが少ないという点である。従来型の教育では、先生からの情報提供を、受動的・消極的に受け取るほかなく、学ぶ楽しみが少なくなっている。2つ目は、多様な人々と協働する姿勢が養成されない点である。創造的なアイデアは、1人の偏った意見から誕生し実現するはずはなく、多様な人々と意見を交換し協働することによって誕生し実現するものである。従来型の学校教育では、生徒相互間での交流を通した学びが少なくなっていると思料している。3つ目の問題点は、生徒の主体性が身につきにくい点である。先述のとおり、授業形態は受動的に聞くものが多く、自ら考え発信していく力が養われることが少ないのではないかと考える。

 以上の問題点を踏まえ、私は『総合学習の時間』を活用した、自発的学習を促す取り組みを提言したい。『総合学習の時間』とは、2000年より導入された義務教育の必修科目で、「お金の使い方」や「命の教育」といった、科目横断的・実践的な学習を促す授業のことを指す。「世の中の現代問題は、1つの分野のみで解決できるものは少なく、全体を全体としてとらえる“総合的視野”が必要だ」との考えから導入されたのだが、この理念は非常に合理性が高く、私も強く賛同ができる。しかし、この『総合学習の時間』には、指導のできる先生が少なく授業進行が上手く回っていない、という大きな問題点が報告されている。現に、現場の先生からは「何をすれば良いか分からず歴史の補講をやっている」とか「席替えや修学旅行の準備に割いている」といった声が多くあり、本来の理念とは異なる授業が進められている様子がうかがえる。そのため、『総合学習の時間』を活用し、楽しみをもって主体性・多様性・協働性を養える、自発的授業を進めることを提案したい。

 では、具体的にどのような授業を行うのが望ましいのだろうか。私はシリアスゲームが解決のヒントになると捉えている。シリアスゲームとは、エンターテイメント性のみを目的とせず、教育・医療用途といった社会問題の解決を主目的とするゲーム全般のことを指す。シリアスゲームでは、当人たちは「遊んでいる」感覚しかないものの、遊びを通じて自然と学びが得られるように仕向けられている。例えば、任天堂から発売された『ピクミン』というゲームでは、人間たちが廃棄したごみを宇宙人であるピクミンが回収していく。その回収したごみに応じて得点が加算されるゲームであるが、ごみ回収に夢中になりつつも、「あぁ、人間はこんなにもポイ捨てをしてるんだなぁ…反省しなくちゃ」と、自然環境保護の大切さを学ぶことができるようになっている。他にも身近な例として、ボードゲームの『人生ゲーム』や『モノポリー』が挙げられる。これらを通じて、人生のライフイベントを俯瞰したり、お金の運用方法・計算方法を学んだりすることができるだろう。

 義務教育の場に導入するシリアスゲームは、より多様な人々と協働し、自ら考える力を養成するものでありたい。例えば、『模擬COP』などが良いだろう。『模擬COP』では、実際に開かれている環境に関する締約国会議を模して、メンバーを数グループに分け、それぞれ各国の立場(アメリカ・ツバル・中国など)を演じてもらうものである。このゲームでは、数回の会議・交渉を通して、先進国・発展途上国における考え方の違いを痛感していくことができるのだ。このようなシリアスゲームを義務教育の場へ積極的に導入することで、生徒たちは楽しみつつも、多様な人々と協調して遊びながら学ぶことができるであろう。その際、先生からシリアスゲームを提案されるのみでなく、生徒たちからシリアスゲームを積極提案してもらうことで、生徒たちの主体性を促進することも可能である。

 教育は子どもたちの成長を支えるものであり、ひいては将来の日本を支えることに繋がる。教育の方法について丁寧に考察し、誰もが笑顔で居続けることのできる、よりよい未来を築いていきたい。

(2390字)

おかまる

おかまる受験コンサルティング株式会社 代表|33歳|医学部受験予備校 面接・小論文講師|茨城県出身|小論文検定1級|1級FP技能士|偏差値38→72(慶應・筑波合格)▶慶應義塾大学SFC▶最大手生命保険会社▶予備校で3年連続関東圏No.1評価|大学で研究した 脳科学に基づく“わかりやすい話し方、文書・資料の作り方”を売りにし、講師歴や実績を10年以上重ねる。講義のモットーは「楽しく、わかりやすく!」。趣味は3歳の娘とプリキュアごっこすること。

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